新日本プロレス5日の後楽園ホール大会で、棚橋弘至(45)が約2年半ぶりに解禁された声出し応援に涙した。

 コロナ禍により新日本の会場では2020年2月26日沖縄大会を最後に、声出し応援が禁止されていた。約2年半ぶりに解禁されたこの日の大会では、50%の観客制限を設け、声出しなしエリアも設けられて開催された。

 棚橋はメインイベントでオカダ・カズチカと組みJONAH、シェイン・ヘイスト組と対戦。入場から大きな「棚橋コール」を受け、満面の笑みを浮かべてリングに上がった。

「ゴー! エース!」のチャントを受けた棚橋だったが、JONAHとヘイストの合体式ボディープレスを浴びるなど窮地に陥る。それでも敵軍の誤爆を誘うと、オカダとの合体ブレーンバスターでJONAHを排除しヘイストと一騎打ちの状態に。スリングブレイドからハイフライアタックを決めると、最後は必殺のハイフライフローで久々の「ワン・ツー・スリー」の大合唱を受けた。

 2000年代に低迷していた団体を、献身的なファンサービスとプロモーション、そしてリング内の激闘で再建。超満員の会場と大歓声をとりもどした。しかしそれはコロナ禍という思いがけない形で失われた。

 それだけに約2年半ぶりに復活した歓声は、棚橋にとって特別なものだったはずだ。試合後のリング上では「ついに、この日が来ました。2年半、2年半のあいだ、皆さん、拍手での応援、そして新日本プロレスについてきてくれてありがとうございました」とファンに感謝。「第1試合から控室に帰ってくる選手の表情がまるで違いました。それは本当に、皆さんの声援があって、初めて成り立つプロレス、それが今日ここにあったんだと思います。必ず近い将来、いつもの日常を取り戻しましょう」と誓った。

 その後にマイクアピールしたオカダから「せっかく声が出せるなら、(今日は)こっちだよね」と催促された棚橋は2人での「愛してま~す!」を要望。団体の顔が揃って「後楽園ホールの皆さん、愛して~す!」を絶叫し大団円で幕を閉じた。

 感極まった棚橋はバックステージで号泣。「2年半という月日は長かったです。長かったですが、2年半の時間を皆さんの声援がたった一日で埋めてくれました。まずは本当に第一歩です。最後に言わせてください。2年半、ちゃんとルールを守って、拍手を届けて、会場に来てくれて、(新日本プロレス)ワールドで見てくれて、応援してくれた新日本プロレスファンの皆さんを心の底から誇りに思います」と、改めて感謝の言葉を口にしていた。