かつてない難局でこそ「王イズムの神髄」が試される。ソフトバンクは10日の日本ハム戦(ペイペイ)に0―2の零封負け。最後は9回二死満塁と粘ったが、あと一本が出なかった。最下位相手にカード全敗で今季2度目の4連敗を喫した。

 首位ながら取り巻く状況は危機的で、恐れていた有事がまたも発生した。リードオフマンとして成長著しい三森が、初回の攻撃で一塁にヘッドスライディングを試みた際に左手親指を骨折。さらに絶対戦力の中村晃が腰痛で途中交代し、離脱は避けられず。状況はさらに険しくなった。

 チームは先月末にコロナ禍に見舞われ、投打の主力がごっそりと抜けた。8日には救援で欠かせない存在だった又吉が右足を骨折。藤本監督が顔をこわばらせ「おはらいに行かなアカン」と漏らす緊急事態が相次ぎ、窮状は拡大している。

 だが、いくら嘆いても離脱者がすぐに戻るわけでも事態が改善するわけでもない。そんななか、先頭に立ってチームを鼓舞したのは王貞治球団会長(82)だった。普段は試合後にベンチ裏で選手を出迎えるとそのまま帰路に就くが、この日はチームの全体ミーティングに異例の参加。「特別チームアドバイザー」も兼ねる王会長は、今こそ選手個々が結果にこだわり力を結集する重要性をナインに説いたという。感情的ではなく、勇気づけるように、前向きに言葉をかける姿にチームの士気は高まった。

 これまでも窮地では遠征地に急きょ駆けつけるなど、チームの反転攻勢のスイッチを入れてきた王会長。藤本監督は「会長からも話があったように、もっと攻める気持ちが大事。打撃も受ける気持ちになっているから、小さくなっているところも当然ある。選手はこの悔しさを糧にやってくれればいい」と顔を上げた。辛抱は続くが、流れを変える〝王の一手〟となるか――。