恩返しの時が来た。ソフトバンクの黒瀬健太内野手(24)が28日に4年ぶりとなる支配下登録を勝ち取った。2018年オフに戦力外となり、育成選手としてこの日を目指していたプロ7年生は「素直にうれしい。思うような結果を出せず、悔しい気持ちと絶対結果を残してやろうという気持ちでやってきた」と実感を込めた。
背番号も126から12となった苦労人は恩人として、いの一番に藤本博史監督(58)の名前を挙げ「藤本監督には本当にお世話になった。先輩の皆さんが『藤本さんのために』とよくおっしゃるが、僕も藤本さんを勝たせるために戦力になれるように頑張りたい」と意気込む。
忘れられない1か月がある。育成に降格して迎えた最初の春季キャンプだ。宮崎の宿舎で毎朝5時に起き、当時三軍監督だった藤本監督との〝2人だけの朝食会〟に臨んだ。和歌山の初芝橋本高時代に高校通算97本塁打を放った黒瀬は、指揮官には「大阪出身で和歌山の高校を出て〝お山の大将〟のような感じでプロに入ってきた」という印象で、殻を破り、辛抱強くならなければ大成はない、と見ていた。
「人より早く起きて一番に食事を取る。ただそれだけかもしれないけど、継続が難しいと思えた人間がそれを1か月完走した時に気づくことがあるかもしれない。プロは厳しい世界。来い言うたら最初遅れてきたけど、ちゃんと来た。それから毎日」(藤本監督)
朝食の間、特別な会話をしたわけではない。ただ二人で黙々と食べた。見えない努力がモノを言うプロの世界で、人より早く一日がスタートする意義を知った、黒瀬にとってはかけがえのない時間だった。
王球団会長もかねて潜在能力を高く評価する右の大砲候補で、もちろん藤本監督も「三軍で、二軍で結果を出して、よくここまで来た。今年はドシッと構えてずっといい状態。一軍でチャンスあるんじゃないかな」と期待している。師弟が待ち望んでいた〝一軍での再会〟も見えてきた。












