完全復活へ求められることとは? 陸上の世界選手権(7月、オレゴン州)代表選考会を兼ねた日本選手権2日目(10日、大阪・長居)の男子100メートル決勝で、サニブラウン・ハキーム(23=タンブルウィードTC)が10秒08で優勝し、同代表に内定した。昨季はヘルニアに悩まされ、回復途上の今大会は1種目に絞り、来年以降の2冠奪還に意欲的。一方で複数種目挑戦には、世界レベルの活躍を見据えた「異論」も上がっている。
サニブラウンはスタートで出遅れると、終盤でトップに立つのがやっと。前日の予選タイムに及ばず、3年ぶり3度目の制覇にも「ちょっとダメですね。(海外の)トップの人たちには前半で置いていかれたら話にならないので。米国に帰って(世界選手権まで)1か月間、本番に強い自分を取り戻せるようにもう一段階上げていきたい」と猛反省した。
昨年はヘルニアの症状に悩まされたシーズンだった。東京五輪は100メートル代表を逃し、200メートルは切符をつかむも無念の予選敗退。それでも症状が改善した今年は4月に10秒15、追い風参考ながら10秒08で走った。
これには日本陸連の山崎一彦強化委員長が「今までの傾向として春先調子がよければ、シーズンを通してしっかり走れている。私は期待できると思う」と話せば、土江寛裕五輪強化コーチは「(担当のレイナ)レイダー・コーチが『日本選手権は非常にいい状態に持っていける』といった話をしていた」と証言していた。
実際、今大会の準決勝で10秒04をマークし、世界選手権の参加標準記録を突破するなど復活を印象づけたが、200メートルは出場を回避。サニブラウンは「これから体の調子を戻していって、来年は両方(2種目)出られたら」と言うように、回復途上であることを強調しつつ、2冠の奪還に意欲を見せた。
しかしある陸連関係者は「やはり2種目やっていくのは大変」。海外勢では、五輪3大会2冠のウサイン・ボルト氏(ジャマイカ)らがこなしたものの「実際にそういう選手はいるけど、2種目両方で全力を出して結果を残せるのはほんのひと握り。確実に決勝に残れるとか、それぐらいのレベルでないと難しいと思う」と指摘した。
サニブラウンは2017年世界選手権で2種目に出場。200メートルでは7位入賞を果たしたが、同関係者は「足を痛めて肉離れの状態になり、その後の400メートルリレーに出ることができなかった。やはり余裕がないと厳しいということ」との見解を示した。
リレーも含めると3種目の挑戦になる。それでも日本短距離界のエースは「ここで終わりじゃない。もっともっと経験して、成長して過去の自分よりもすごい選手になりたい」。さらなる進化へ意欲的だが、24年パリ五輪へ向けて決断を迫られるのだろうか。












