10年間の特別な思いがある。ソフトバンクの王貞治球団会長(80)が、11日にヤクルト入団が決まった内川聖一内野手(38)にエールを送った。

 内川はFAで2011年に鷹に移籍。初年度にソフトバンクホークスとしては初となる日本一の原動力となると、以降も主力としてけん引した。チームは11年から実に10年間で7度の日本一を誇る常勝期を迎えた。いわば常勝の歴史を作ってきた一人だ。

 王会長は新天地へ移籍した内川について「もちろん自分のためにやるんだけど、若い人の手本にもなるしね」。こう大きくうなづくと「背中に目をつけて。若い人が自分の背中をジッと見ているんだということも頭に入れて、自分が先輩たちから受け継いだものを若い人に渡していってほしい」と期待を込めた。

 常に温かく見守ってきた。今季は内川の二軍暮らしが延々と続く中、王会長自ら筑後のファーム施設に何度か出向いた。待てども出番が来ず、心が折れそうになる安打製造機に「いつでも行ける準備だけはしておくように」などと励ましの声をかけていた。

 振り返れば18年の2000安打達成後、長期にわたりファーム調整となった際には「オレも40(歳)で辞めて後悔している。もうちょっとできたんじゃないかなと思っている。そういう思いをしてはダメだぞ」との言葉をかけ、内川を「あれほどの記録を残された方でも後悔しているということは、自分なんかが辞めちゃったらもっと後悔するんだろうなと思った」と奮起させている。

 退団となった際、内川も「ユニホームを脱ぐ時は、本当にもうこれ以上は無理だ、これ以上やることはないと思って、脱ぎたいなと思うようになりました」と心境を口にしている。チームこそ変わるが「もうひと花咲かせたい」と新たな挑戦に臨むヒットメーカーを王会長も温かい目で応援していくことだろう。