【赤坂英一 赤ペン!!】いよいよ中日の新4番候補が覚醒しつつある。地元名門・東邦からドラフト1位で入団して3年目の石川昂弥内野手(20)が、5日のヤクルト戦で待望のプロ1号本塁打を放ったのだ。
キャンプ、オープン戦までは試行錯誤を重ねていたこともあって、いまひとつ石川昂らしい強い打球が飛ばず。父・尋貴さん(50)が折に触れて、LINEで励ましのメッセージを送っていた。「打撃の技術的なことは私にはわからないし、口を出せることでもありません。ただ、メンタルの状態は表情を見ていればわかりますから。いい顔してないなと思ったら、LINEをしています」 もっと前を向け。自分らしい打撃をしろ。そういう思いを込めて、石川昂の弟・瑛貴さんの動画を送ったことがある。
瑛貴さんは、石川昂と同じ東邦で野球をやっている2年生の捕手。兄と同じくプロからも注目される逸材だが、昨年7月に右肩を脱臼してから送球ができなくなった。
野球を諦めさせるべきだろうか。一時そこまで考えた尋貴さんの心配をよそに、瑛貴さんはDHで出場した練習試合で本塁打、三塁打と快打を連発。その姿に胸打たれた尋貴さんは、動画を石川昂へ送ったのだ。
「弟(瑛貴)は兄(石川昂)よりメンタルが強い。弟がこれだけ必死でやってるのに、おまえは何をやってんだ!と。そういうメッセージを込めて動画を送りました。実際は、そんなキツい言葉は使いませんでしたけど」
これに石川昂は「元気出たわ!」と返信。その日の広島戦はノーヒットだったが、吹っ切れたかのような表情を見た尋貴さんは「もう大丈夫だろう」と感じたという。
これにはれっきとした専門家の裏付けもある。尋貴さんが勤務する企業でセミナーを行っているメンタルトレーニングの講師が、やはり3日の試合を見て「石川昂の表情が変わりましたね。打撃も絶対よくなります」と請け合ってくれたのだ。
石川昂がプロ1号本塁打を放ったのは、その2日後の次の試合だった。さらに、2日後の7日には第3打席で早くも2号アーチ。ただ、2打席目までの遊飛、見逃し三振が石川昂らしくないスイングだったことが、尋貴さんはまた気になった。「そうしたら(石川昂は)後になって、いろいろ試してる打席もあると説明してくれました。失敗してこそわかることもある。これから、しっかりと自分なりのものをつかんでほしいですね」
竜の主砲への道程は、まだ始まったばかりだ。
☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。日本文藝家協会会員。最近、Yahoo!ニュース公式コメンテーターに就任。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」(講談社)など著作が電子書籍で発売中。「失われた甲子園」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。他に「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。












