伝説の左腕の系譜を受け継ぐ男が、苦境に立たされた虎ブルペンを救う。阪神・渡辺雄大投手(30)が15日のソフトバンク戦(ペイペイ)の8回から4番手として救援登板し、1回を無安打2奪三振無失点。昨オフにソフトバンクから戦力外通告を受け、阪神と育成契約を結んだ背番号128が古巣を相手に恩返しの快投を披露した。
悲願の支配下契約まであと一歩だ。チームはこの日、高卒3年目左腕・及川が右脇腹の筋挫傷と診断されたと発表。開幕出遅れが決定的となってしまった。同じ左腕の岩貞も左ハムストリングを痛め、二軍で調整中。現状で阪神ブルペンには計算できる中継ぎ左腕がリリーフエースの岩崎一人しかいないという緊急事態に陥ってしまったため、渡辺にかかる期待も大きい。
矢野監督もこの日の好救援を「古巣相手に投げにくいところもあったかもしれないけど、0で抑えてくれた。いい味を出してくれている」と評価。「中継ぎに左の人数がいない中、ある意味チャンスだと思うので。及川が帰ってきても、いい競争になってくれればいい」とさらなる活躍に期待を込めた。
投球の際に「ヨイショ!」と声を出す老成された雰囲気にちなみ、命名されたニックネーム「なべじい」もすっかりチーム内に定着した。名付け親は他ならぬ矢野監督。ソフトバンクには2000年の日本一に貢献した「なべじい」こと渡辺正和氏がいたが、指揮官が現役時代に阪神でバッテリーを組んだOB・田村勤氏のあだ名「たむじい」にあやかったのではと、もっぱらの評判だ。
田村氏は美しいサイドスローを武器に90年代の阪神ブルペンを支えた左腕。「亀新フィーバー」と呼ばれた快進撃を支えた92年シーズンの勇姿は今も、古参の虎党たちの間で〝伝説〟と語り継がれるほどだ。
人づてに「なべじい」の存在を聞いた田村氏も「矢野監督が僕のこと覚えていてくれたのかなと思うとうれしいね。引退してずいぶんたつのにありがたい」と笑顔。
現役引退後は西宮市内で整骨院を営んでいたが、今月限りで閉院し故郷・静岡へ帰るとのこと。青山学院からBC新潟を経て26歳にてプロ入りを果たした渡辺の経歴を知ると「本当に苦労人なんだね。自分と同じ左のサイドスローだし、応援したくなるタイプだよ。西宮を離れることにはなるけど、静岡からも彼のことはこまめにチェックしておく。頑張ってほしいね」とエールを送った。












