鷹の指揮官がキャンプ中、まだ見ぬ助っ人を何度も話題にしたのはなぜだったのか――。今季からソフトバンクに加入するフレディ・ガルビス内野手(32)が、再加入となるコリン・レイ投手(31)とともに今週中にも来日する予定だ。投手ほど調整に時間を要さない野手のガルビスは、待機期間を経て早期に一軍に合流すると見られる。
ガルビスは昨季もメジャーで100試合以上に出場した通算109発を誇る強打のスイッチヒッターだ。加えて二遊間を守れる守備力を誇るとあって、現場の期待は大きい。宮崎春季キャンプを打ち上げた2月28日にも、藤本博史監督(58)はシ烈な外野手争いの話を報道陣に振られたにも関わらず、自らガルビスの話を切り出したほどだ。
「内野もですね、ガルビスがいつくらいになるか分かんないですけど、野手ですから投手と違って時間がかかるわけじゃない。映像を見せてもらった中では100%近く動けている。こっちに来て何日か後には合流すると思うんで、そうなった時のショート、サード、セカンドですね。この辺の見極めも大変かなと思います」
ガルビスの話題を指揮官が自ら切り出すのは、これが初めてではなかった。外国人の入国緩和の見通しが出始めたころから顕著で、そこには意図的なものを感じさせた。事実、チーム内には既存メンバーの戦力把握と若手の成長度を見極めたキャンプ終盤に、指揮官の深謀遠慮を説く声が上がっていた。
あるフロント関係者はこんな見解を持っている。「監督はもっと激しい競争を望んでいたと思う。もっともっと下からの突き上げが欲しかったはず。ベテランや主力がさらに危機感を持つように。そうすれば、もっと競い合う雰囲気が醸成されてチーム強化を望めたはずだから。ここにいるメンバーだけがライバルじゃないという意味で、これからバリバリのメジャーリーガーが来るというメッセージを何度も自分から発信していたんだと思う」。
今宮、松田ら叩き上げの主力が慢心を抱いたり安心するタイプではないが、若手がもっと脅かすようなアピールを見せれば、競争がさらに活気づいたのは確かだろう。
指揮官はキャンプ中、ガルビスが米国でトレーニングを行う映像をチェックしていたが「いいところの映像しか来ていない。悪い映像が来ていないから本当に蓋を開けてみないと分からんけど…」とも語っていた。
どんな大物外国人でも未知数であることは百も承知。コーチ時代から現在の選手たちと誰よりも長く接してきた指揮官は、選手個々の性格や特徴を把握している。いない助っ人を意識させ、緊張感を生み出す――。それが聞かれもしないガルビスの名前を頻繁に出していた理由だったのかもしれない。












