本人の想定通り、最終着地点はメキシコになった。昨季までソフトバンクでプレーしたウラディミール・バレンティン外野手(37)がメキシカンリーグのサルティヨと契約を結んだ。13日に球団公式サイトが伝え、本人も自身のインスタグラムを更新してサルティヨ行きを報告。葛藤の末に、野球人生の最終章が始まる。

 メジャーを経て2011年にヤクルト入団。13年にプロ野球シーズン最多記録を更新する60本塁打を放つなど3度の本塁打王に輝いた。20年にソフトバンクに移籍したが、2年間で出場82試合にとどまり、13本塁打と自慢の打力を発揮することはできなかった。

 退団後は日本での現役続行を望んでいたが、先月23日に自身のツイッターで日本復帰を断念したことを明かしていた。NPB11シーズンで実に8度の30本塁打以上をマークするなど通算301本塁打。SNSなどでの自由奔放な言動もあり〝お騒がせ助っ人″のイメージも定着したバレ砲だが、NPBの歴史に名を残したことは間違いない。

 日本記録を打ち立てたスラッガーは、とりわけ自尊心が強かった。それが弱肉強食の世界では時に武器となり、時に不器用な生き方を露呈する形になった。ソフトバンクの2年間はプライドをズタズタにされたはずだ。福岡を離れる際「このままでは終われない」という言葉を残して別れを告げる姿が印象的だった。

 実は日本での現役続行が難しいと悟った際、選手としての最終章がメキシコになることを本人がにおわせていた。日本がダメなら韓国でプレーする選択肢もあった。だが、「引退」の選択肢はなかった。ソフトバンクで実力を証明できずにそのままユニホームを脱ぐ、という結末を受け入れられなかったからだ。人それぞれに引き際の美学があるが、最後までバレンティンらしい選択だ。

 本人はメキシコでユニホームを脱ぐつもりだ。日本のホームランキングにふさわしい華やかなラストダンスを見せられるか。