北京五輪開幕が刻一刻と迫る中、中国女子テニスの彭帥(36)を巡る問題がくすぶり続けている。同選手は元副首相に性的関係を強要されたと告発して行方不明となっており、30日に閉幕した全豪オープンでは、出場選手から身の安全を懸念する声が相次いだ。一方、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は彭との会食を予定しており、五輪に参加するアスリートが反発して抗議行動に出る可能性も出てきた。
先の全豪オープンでは大坂なおみら出場選手から彭の身を案じる声が相次いだほか、一部の観客が「Where is Peng Shuai?(彭帥はどこに?)」と記されたTシャツを着用。警備員が脱ぐように命じて、押し問答となった。その後に大会主催者は方針転換して着用を認めたが、SNS上では多くのアスリートが「Where――」の文言をハッシュタグにして拡散。騒動は広がりを見せている。
そんな中、北京五輪を主催するIOCは問題の沈静化に躍起。五輪出席のために北京入りしたバッハ会長は、滞在中に彭と食事をすることを明かしている。ただ、昨年にバッハ会長が彭とビデオ通話した際には世界中から「中国の宣伝に使われている」などと非難が殺到。大会期間中に抗議行動に出る選手が現れても不思議ではない。
仮に全豪オープンで観客が着ていたTシャツを選手が着用した場合はどうなるか。東京大会を運営した組織委員会担当者によると、大会中の選手の衣服については五輪憲章の「規則50」に書かれているという。そこには「商業的なものであれ、その他の性質のものであれ、オリンピック競技大会ではいかなる広告、プロパガンダも身体、競技ウエア、アクセサリーに表示してはならない」と記載されている。
一方で、IOCは東京大会前に五輪憲章の規定を緩和し、特定の国・地域や個人を誹謗中傷しないことを条件に、アスリートの表現行為を容認。Tシャツの着用は規則に抵触する可能性が高いが、別の方法でなら一定の範囲内で主張することは認められている。
実際、東京大会では女子サッカーの英国対チリの試合前、両チームの選手が人種差別に対する抗議の意思を示す〝片ヒザつき〟のポーズを取り、なでしこジャパンの選手らも追随した。また、陸上女子砲丸投げ銀メダルのレーベン・ソーンダーズ(米国)は表彰台で両手を頭上で交差させて「×」の形をつくり、黒人や性的マイノリティーへの偏見に対する抗議行動に出た。
とはいえ、北京五輪の組織委員会は五輪精神の順守を求めるだけでなく、中国の法律や規則に違反した場合は選手資格の剥奪など処罰の対象にすると発表。選手が何らかのメッセージを発した瞬間に映像を遮断するなどの妨害工作も考えられる。果たして北京五輪は中国の思惑通りに〝無風〟のまま終わるのか、それとも…。波乱の要素を抱えながら開幕の時を迎える。












