思わず感極まった。フィギュアスケートの北京五輪代表最終選考会を兼ねる全日本選手権(さいたまスーパーアリーナ)の女子ショートプログラム(SP)が23日に行われ、17年四大陸選手権覇者の三原舞依(22=シスメックス)が73・66点をマークして5位発進。国際スケート連盟(ISU)の非公認大会ながら自己ベストを上回ったが、その得点以上に「名演」が観客を魅了した。
SP曲は映画「レ・ミゼラブル」。中野園子コーチに「悲しい雰囲気を出して」と言われると、三原のスケーター魂にスイッチが入った。劇中に出てくる悲劇の女性・ファンティーヌを憑依(ひょうい)させ、その悲哀に満ちた人生を見事に演じ切った。なんと、あまりに感情移入するあまり、演技中に涙を見せていたのだ。
試合後、取材ゾーンに姿を見せた三原。すでに笑顔に切り替わっていたが、涙のシーンを問われると「映画の中の彼女になりきって滑ることができたかなって思って。最後はステップのところで物語がパッと頭の中に浮かんで、映画を見たときのように涙が出てきたんです」と明かした。
自身は19ー20年シーズンに体調不良で休養し、苦しい時期を経験。そんなストーリーをシンクロさせたファンもいたのだろうか。演技が終わった瞬間、会場はスタンディングオベーションで割れんばかりの拍手。三原の涙にもらい泣きしていた観客も少なくなかった。
三原は「温かいお客様の前で滑ることができて本当にうれしかったです」と笑みを浮かべ、25日のフリーへ向けて「本当にたくさんの方々のサポートのおかげでこうして元気でいられるので、その感謝の思いをスケートで表現したいなと思います」と話した。












