【赤坂英一 赤ペン!!】今年の都市対抗野球、プロ野球の広島ファンにとって必見の大会となった。佐々岡監督が来年のキャンプ一軍スタートを明言した社会人の新人が4人も出場しているのだから。

 最初に存在感を示したのは、ドラフト2位の左投手・森翔平(23=三菱重工West)。予選の4試合20回で防御率0・00と抜群の安定感で、今大会1回戦でも8回3安打自責0と好投した。

 真っすぐの平均速度は140キロ台。5四死球で自らピンチを招いた場面もあったが、そこで踏ん張れるメンタルの強さ、配球の巧みさが光った。

 森本人は元巨人、中日の捕手・小田幸平ヘッドコーチ(来季は中日二軍バッテリーコーチ就任)の指導と助言が役立ったことを強調している。

「お前の生命線は右打者の内角を攻める真っすぐだと、小田さんにずっと言われていました。内角の次に外角で打ち取るのが僕のスタイルです」

 広島に指名されると、小田コーチに「一日でも長く、一球でも多く投げられるように頑張れ」と激励されたそうである。

 ドラフト5位の右投手・松本竜也(22=ホンダ鈴鹿、東邦ガス補強選手)はリリーフ向きだろう。1回戦は1点リードの6回二死二塁から登板し、最速148キロの直球にカーブ、カットを織り交ぜ、3回1/3を無失点。2回戦は延長10回、タイブレークの一死満塁から、すべて直球で2連続三振。直後のサヨナラ勝ちをもぎ取った。

 松本を送り出した東邦ガスの山口勝司監督も「ピンチでも動じない。球に勢いがあって、三振を欲しいところで取ってくれる」と絶賛。広島で抑え候補になりそうだ。

 打者ではドラフト6位の右打ちの外野手・末包昇大(25=大阪ガス)が目立っている。186センチ、110キロと大型の長距離砲で、1回戦でバックスクリーンに決勝ソロ本塁打。打球速度は社会人の平均値150キロ台半ばを大きく上回り、大会最高の178キロを記録した。

 巨漢の割に足も速く、9回に二塁打で一塁から長駆ホームインしてダメ押し点もゲット。ベンチで常に大声を出すムードメーカーでもある。

 ところが、2回戦では4打席すべて外角スライダーに泳がされて無安打4三振。この穴の大きさを修正できるかどうかがプロでの課題である。

 唯一見せ場がなかったのはドラフト3位の中村健人(24=トヨタ自動車)。2次予選から調子を落としており、今大会1回戦も無安打1四球でチームも敗退した。カープでの捲土重来に期待したい。

 ☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。日本文藝家協会会員。最近、Yahoo!ニュース公式コメンテーターに就任。コメントに「参考になった」をポチッとお願いします。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」(講談社)など著作が電子書籍で発売中。「失われた甲子園」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。他に「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。