DDT23日の東京・両国国技館大会で、ミスタープロレス・天龍源一郎(65)とタレント兼プロレスラーの赤井沙希(28)が初タッグを結成した。チームは勝利したものの、赤井はまさかの大号泣。涙の裏には、11月15日に引退試合(両国国技館)を控える天龍から送られた“激辛エール”があった。

 天龍と赤井はこの日、高木三四郎(45)とトリオを組んで石川修司、樋口和貞、里村明衣子組と対戦。先発した天龍が里村にグーパンチをブチ込むと、赤井もビッグブーツを繰り出していく。その後は敵軍の猛攻にさらされる場面もあったが、赤井が場外へのダイビングボディーアタックを繰り出し逆転。最後は高木が天龍とのサンドイッチ式ラリアートからシットダウンひまわりボムで樋口を沈めた。ミスタープロレスと、名ボクサー・赤井英和の血を継ぐ女子プロ界の新ヒロインの共闘は、見事な勝利で幕を閉じた。

 試合後の控室で天龍は「サウナ代が儲かったってヤツだよ」と上機嫌で汗を拭ったが、それとは対照的に何と赤井は号泣し始めたのだ。一体何があったのか――。

 実は、天龍は試合中から赤井に厳しいゲキを送り続けていた。タッチを求める前の赤井の攻撃が物足りないと見るや「何でもっといかないんだ!(相手の攻撃に)倍返しをやってから来い」と激高。赤井と里村の攻防中には、怒りのあまりペットボトルまで投げつけた。天龍は「攻めの部分がだいぶ物足りないね。きれいに蹴ろうとか、かっこいい技をやろうとかより、よっぽど『ぶっ倒してやろう』という気持ちが大事。あんなに小さな里村(157センチ)だってあんだけやってるんだ。プロレスのうまい下手は二の次だよ」とその真意を説明した。

 ここまで厳しいエールを送るのも、昨年の東京スポーツ新聞社制定プロレス大賞新人賞を受賞した赤井を高く評価しているからこそだ。「あんな逸材はいないわけじゃない? あの背(174センチ)とルックスとバックボーンがあって。せっかく体を痛めてやってるんだ。彼女がやられているほうが(観客の)支持があるのかもしれないけど、彼女自身がかわいそう。お父さんだって応援してると思うよ」。引退を間近に控えるからこそ、未来を担う女子レスラーに対し心を鬼にして“龍魂”を注入したのだ。

 赤井が継承を熱望していたグーパンチについても「倍返しを食らう覚悟があるか、ないか。ボクサーだってそう。覚悟の問題だよ」とアドバイスを送った。戦前にガラガラ声のこけしこと本間朋晃(38)を講師に招いた「ヒアリング特訓」の成果(?)か、赤井も試合中の天龍の声は全て聞き取れていたという。「チームは勝ったけど、個人としては負けた気持ちです。聞こえていただけにふがいなさ、情けなさがありますね」と涙の意味を語った。

 もちろん大舞台で積んだ、苦くても貴重な経験を今後のレスラー人生に生かすつもりだ。「光栄だし幸せです。もっと精進しなきゃいけないですね」と前を向いた赤井。デビュー2周年の両国で天龍から受けたアドバイスを胸に、涙の数だけ強くなる。