大手住宅メーカー・積水ハウスに架空の取引を持ちかけ、土地購入代金として約63億円をだまし取ったとされる地面師事件で、フィリピンで身柄を拘束されているカミンスカス操容疑者は、早ければ10日にも国外退去処分となり日本に移送される。別件の新橋資産家失踪事件の全容解明にもつながるのか。

 積水ハウス事件を巡っては、地面師グループの内田マイク、土井淑雄両容疑者が3日に詐欺と偽造有印公文書行使の疑いで再逮捕されたが、ともに容疑を否認している。カミンスカス容疑者は日本に移送後、偽造有印私文書行使容疑などで逮捕され、取り調べが始まる。

 なお、積水ハウスは地面師グループにマンションを販売する別の契約も結び、約7億5000万円を預かっていたため、これを約63億円から差し引いた約55億5000万円を被害額と認定した。

 捜査当局の本丸は積水ハウス事件だけではない。新橋資産家失踪事件も含まれているとみられるのだ。

 資産家失踪事件とは東京・港区のマッカーサー道路に近い一等地を所有していた大地主の高橋礼子さん(60=当時)が2016年3月に失踪。同年10月に自宅近くの通路の溝から白骨化死体で発見された。前後して、時価総額6億900万円の一等地が地面師グループによって売買されていた。

「警察は当初、『事件性はない』と発表したが、失踪前に高橋さんは『私は土地を売っていない。印鑑も押していない』と話していたんです」(事情を知る関係者)

 積水ハウス事件ではこれまで16人逮捕されているが、この資産家失踪事件でも内田、カミンスカス両容疑者らが関与した疑いがある、と捜査当局はみている。

 中でも内田容疑者は、失踪した高橋さんの土地売買契約が行われた千代田区神田鍛冶町の法律事務所で契約現場に立ち会っていた。

 カミンスカス容疑者が日本に移送されれば、キーマン3人が揃うことになる。もちろん相手は海千山千の地面師グループだけに簡単に口を割るとは考えづらいが、事件の真相解明に期待がかかる。