まさか米国の命運を握るのが、米国籍のギネス世界記録保持者になるとは――。米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は、WBC1次ラウンドB組最終戦のメキシコ戦(11日=日本時間12日 ダイキン・パーク)で先発予定のイタリア代表右腕アーロン・ノラ投手(32=フィリーズ)を「3つの国のために投げる男」としてクローズアップした。
イタリアが勝てば4戦全勝でB組1位、敗れた米国も2位で突破。一方、メキシコが9回までに5得点以上で勝利しても米国に生き残りの目が残る。つまりノラはイタリアのためだけでなく、結果的に米国の準々決勝進出も左右する立場に立たされた。
発端は優勝候補の米国が10日(同11日)、イタリアに6―8で敗れた大波乱だ。これで1次ラウンドB組はイタリアが3勝0敗、米国が3勝1敗、メキシコが2勝1敗となり、最終戦ひとつで順位が激変する構図になった。MLB公式サイトも「イタリア対メキシコの勝者が突破し、同時に米国の運命も決める」と整理している。
前出のON SIは、米国が終盤に2点差まで詰めた粘りが大きかったとも指摘。もし大差で敗戦を喫していれば失点率の計算上、米国の立場はさらに厳しくなっていた。その大一番を託されるノラは、3月4日の強化試合で3回無失点、4奪三振。ON SIによれば、最速93・9マイル(約151キロ)近い球速も出ており、状態は上向きだという。WBCの球数制限を踏まえれば長くても4イニング前後とみられるが、その役割は重い。
フィリーズでは昨季こそ故障に悩まされ、5勝どまりに終わったものの2024年まで3年連続で2桁勝利。21年6月25日(同26日)の敵地メッツ戦ダブルヘッダー第1試合でMLBタイ記録(史上3人目)となる10者連続三振をマークし、ギネス世界記録に認定されている。イタリア・シチリア島に血縁(ルーツ)を持つイタリア系米国人であるため、今大会ではWBCの大会資格が適用され、イタリア代表入りした。フィリーズ一筋の生え抜き右腕はMLB通算11年で109勝。対戦するメキシコ代表にとっては、明らかに難敵だ。
もちろんマウンドに立つノラにとっても通常のオープン戦調整ではなく、実質的には「10月の試合」を先取りするような緊張感。B組最大の台風の目となったイタリアは、フィリーズのエース右腕に米国まで背負わせる〝運命の一戦〟を迎える。












