第96回選抜高校野球大会の第2日第2試合で明豊(大分)が敦賀気比(福井)を1―0の劇的サヨナラで下した。

 投手戦に決着がついたのは9回の土壇場だった。二死一、二塁のチャンスを作ると、4番の捕手・石田(3年)が敦賀気比2番手の米田(3年)から右前に強烈な打球を弾き返し、二走・木村(3年)が迷わず本塁に突入。一気にホームを駆け抜け、ベンチからナインが飛び出して喜びを爆発させた。場内には南こうせつの歌う校歌が流れ、大きな拍手が沸き起こった。

 川崎監督は「この回に決着をつけないと、次のタイブレークは下位からだな、と思っていた。石田の勝負強さと木村の足が生きた。昨夏もタイブレークで負けたのであんまりイメージはよくないです」と相好を崩した。昨夏の初戦で北海にタイブレークの末にサヨナラ負け。そのイメージを見事に石田が断ち切ってくれた。

 スコアレスの息詰まる展開。相手先発の竹下(3年)からあと1本が出ない。それでも先発の寺本(2年)が7回途中まで3安打に抑える好投を見せ、持ち前の堅守で1点を許さなかった。「守り合いの中でミスが出なかったことが一番よかった。寺本の持ち味は打たせて取ること。〝ザ・寺本〟という投球だった。それが返って内野の動きをよくしたと思う」と2年生左腕をほめた。

 値千金の一打を放った石田は「絶対に決めるという強い気持ちで打席に入った。足の速い木村だったので抜ければ1点入ると思った。自分は昨夏を経験しているので勝負強さを発揮できてよかった。今日は投手に助けてもらったので次は打者が助けたい。甲子園はボールがよく見える」と胸を張る。昨秋に外野手から捕手に転向。投手陣をリードしていく一方で「打てる捕手を目指せ」と川崎監督に言われ、打撃も磨いてきた。スイングスピードを上げ、ウエートトレと食事面を強化。「インパクトの強さを感じているし、上半身を鍛えてスローイングもよくなった」と実感している。

「まだ発展途上のチーム。当たって砕けろでいきます」と指揮官。昨夏の無念を今春に晴らす。