表向きは「美」を前面に打ち出しているが、固執したわけではなかった。ソフトバンクは25日に今年のチームスローガン「VIVA(美破!)」を発表。PayPayドームでの会見に出席した小久保裕紀監督(52)は「一人ひとりが美意識を持ちながら自己成長する。一つのチームとして結集する。3年間優勝できていないという壁を打ち破っていく。あとは言葉の響き、分かりやすさ。明るい、前向きにというかけ声の語呂合わせも含めてVIVA(美破)です」と選考理由を語った。約50個あった候補の中から「ピンときた」と最終候補の一つに推薦し、孫オーナーの最終承認を経て決まった。

 語呂や音の響きだけではなく、指揮官はロゴの形にもこだわった。「(ホークスは)巨大な組織で各部署、フロント、現場があってやっていくんですけど、一人ひとりが同じ方向を向いて、高い壁に挑んでいこうという塊。そのイメージで球界初の立体的な(キューブ型の)ロゴになった」。言葉に宿る力、見る者の視覚に訴えるメッセージを戦略的にイメージするところが、小久保監督らしかった。

今年のチームスローガン「VIVA(美破!)」はロゴの形にもこだわった
今年のチームスローガン「VIVA(美破!)」はロゴの形にもこだわった

 人一倍、活字が人間の言動に大きな影響を及ぼすことを信じ、日々研さんを積んでいる。読書家として知られる指揮官は、普段から好みの歴史小説などと同時並行で自己啓発本を読みあさっている。理由は「言葉を探してるんで」。選手や人前でしゃべることを意識して、TPOに応じた適材適所の言葉を選ぶため。今回も「小久保監督の言葉に意味を持たせるセンスに、周囲が自然と賛同した形」(チーム関係者)と存分に生かされた。

 舞台裏を知る球団関係者によれば「監督自身があまり独断的に〝美〟に寄せることを良しとしない考えもあって、もう一つ最終候補に挙がっていたシンプルな『ワンチーム』を意識したスローガンと悩んでいた」という。忖度による〝美ありき〟ではなく、合議制で「VIVA」に落ち着いたのは球団全体の納得感があったからだ。

 勝負の神は細部に宿る、が口癖。スローガン選定に全力投球する姿は普段交わらない球団職員らにとっては新鮮に映ったようで、後方支援の輪が広がりそうだ。