日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が主催する国内メジャー「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」(9月10~13日、岡山・JFE瀬戸内海GC)がトップ選手の大量欠場の危機にひんしている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となった海外メジャー「ANAインスピレーション」(米国)が同じ日程で開催されるのに加えて「AIG全英女子オープン」(8月20~23日、英国)に出場した選手も大会に間に合わない可能性が浮上。果たしてJLPGAの対応は?

 「日本女子プロ」については、前年優勝者の畑岡奈紗(21=アビームコンサルティング)が「ANA」に出場する方針。昨季賞金女王の鈴木愛(26=セールスフォース)も優先度の高い海外メジャーに「ANA」を挙げており、欠場が濃厚だ。

 岡山県出身の渋野日向子(21=サントリー)は地元開催の国内メジャーと昨年優勝の海外メジャーに「後悔のない選択をしたい」と発言。こちらも出場は微妙な状況と言えそう。選手たちが海外メジャーを選ぶのであれば、致し方ないが、さらに問題視されているのはその3週前に開催される「全英女子」との兼ね合いだ。

 現状では「全英女子」に出た選手は、帰国した日から14日間の自主隔離が必要。仮に大会を終えて8月25日に帰国した場合「日本女子プロ」が開催される週の火曜日(9月8日)までが隔離期間となる。10日開幕の試合にはぎりぎり間に合うはずだが、ネックになるのは大会前に実施される見込みのPCR検査だ。

 トーナメントに関わるゴルフ5団体が出しているコロナ禍での開催ガイドラインが近く改定され、当面はPCR検査が事実上、義務化される見通し。日本プロゴルフ協会の倉本昌弘会長(64)はシニアツアーの開幕に向け「私個人は反対ですけど、3ツアー(男子、女子、シニア)で決めたガイドラインにPCR検査があるので、初戦は検査をやります」と発言している。

 女子ツアー開幕戦となった「アース・モンダミンカップ」では、当週の火曜日にPCR検査が行われ、結果が出たのは水曜日の夜。同じスケジュールで実施された場合、「全英女子」に出た選手は検査を受けられず「日本女子プロ」に出場できなくなる。現実的には渋野に選択の余地がないということになる。

 現時点で「全英女子」の出場権を持つのは前出の3人に加えて河本結(21=リコー)、穴井詩(32=GOLF5)、小祝さくら(22=ニトリ)、上田桃子(34)、勝みなみ(22=明治安田生命)というランキング上位の豪華な顔触れ。だが、全員に国内屈指のメジャー大会欠場の可能性があるわけだ。

 JLPGAには、すでに全英に出場する選手やその関係者からの問い合わせが来ており「何らかの特例を検討中です」としたものの、結論はまだ出ていない。小祝が「まだ悩んでいます。隔離は過酷だなと思います」と14日に告白したように、この問題が解決しないため「全英女子」に出場するかどうかを決められない選手もいる。

 昨季の賞金ランキングトップ10が誰もいない国内メジャーになってしまうのか。JLPGAの対応次第では大問題に発展しそうだ。