陸上の世界選手権(7月、米オレゴン州)代表選考会を兼ねた日本選手権(大阪・長居)で男子短距離の桐生祥秀(26=日本生命)が、厳しい現実に直面している。

 初日(9日)の100メートル準決勝は1組に登場すると、10秒24(追い風0・5メートル)で4着。タイムで拾われ、決勝進出を決めたが「(他の組の選手に10秒)24以下で走らないでくれと願っていた。勝負をする側としては、その思考を持つことがダメだと思う」と反省の言葉が目立った。

 イメージ通りの走りができていない要因は何なのか。桐生はシーズン前、トレーニングの一環としてストレングス&コンディショニングの専門家の指導を受け、筋力や柔軟性、持久力を半年間かけて強化してきた。その結果、土江寛裕コーチは「確実に体の変化があった」と効果を実感。出力が上がっただけでなく、短時間で大きな力を出せるようになったという。

 しかし、パワーと走りの連動性がかみ合ってきたころ、不運にも右太もも裏の違和感に見舞われた。その後は約4週間本格的に走ることができず、4月の織田記念、5月のセイコーゴールデンGPを欠場。大きく歯車が狂った可能性は否めない。この日は予選でも「トップスピードが足りていなかった。いつもとちょっと違うなと思った」(桐生)。まだまだ試行錯誤が続きそうだ。