早くコースを知りたい――。東京五輪男子マラソン代表の中村匠吾(27=富士通)が本紙の取材に応じ、“本音”をこぼした。

 9月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)では実力者の大迫傑(28=ナイキ)、設楽悠太(27=ホンダ)らを下して優勝。異例の早期内定で東京五輪に向けて対策を練っていくはずだったが、1日に競技会場の札幌移転が正式に決まり、本番とほぼ同じコースを経験したアドバンテージがなくなった。

 中村は「基本的にやることは変わらない」と冷静な対応を見せた一方で、こう胸の内を明かした。「コースが早く決まれば、コースに対応できる戦略を練る時間が増えるので、しっかりどういうコースで行われるか知りたい」

 コースは大通公園、札幌ドーム、円山公園を発着とする案が浮上。ゴール付近に急な上り坂があるコースもあり、ポイントごとに対策を練る必要がある。中村はMGCで2度の試走を行い「最後の800メートルが勝負になる」と予想。実際にラスト500メートルで2位を引き離し、五輪切符をたぐり寄せた。日頃「準備が大事」と口にしており、できるだけ早くコースの対策を練りたいところだろう。「レースの途中で選手が飛び出すなど、いろんな可能性があるので、どういう事態が起きても対処できるようにしたい」と話したが、コースが分からなければどうすることもできない。

 現時点では12月にコースの概要を決め、来年4月に本計測を開始する予定。それでも中村は「4か月あれば十分」と自信に満ちた表情を浮かべ、前向きな姿勢は崩さない。悲願のメダル取りへ「アスリートファースト」とはかけ離れた前代未聞のドタバタ劇をも克服するつもりだ。