北京五輪で初の決勝進出を決めたカーリング女子日本代表ロコ・ソラーレ(LS)の〝努力の虫〟と言えば、セカンド・鈴木夕湖(30)だ。

 身長は146センチと決して大きくないが、本橋麻里代表理事が「天真爛漫な努力家。自分の利点と弱点というのをよく見つめている」と話すように、誰よりも練習を重ねてきた。ある日には練習前に常呂から北見まで約40キロの距離を自転車で爆走。リード・吉田夕梨花とともに「クレイジースイーパーズ」と称されるスイーパーとしての心技体を磨くべく、さまざまな形でレベルアップを目指してきた。

 我が子の姿勢に、母・倫子さんは「『私の子供ではない!』と思うほどの根性です。私には、とても夕湖の真似はできません」と舌を巻くほど。自宅では2階の自室をトレーニングルームにしており「私が朝起きた時には、もうランニングに出発! 私が仕事に行く時には、北見にフィジカル・トレーニングに出発! 急な坂道を求めて、自転車を走らせる! カーリング・ホールでチーム練習! 家の中でも、ドタバタ、トレーニング!」と驚きを隠せない様子だ。

 愚直な姿勢はカーリング以外でも同じだ。北見工業大出身のリケジョである鈴木は、文武両道を実践してきた。現在は趣味の1つとしてオカリナに挑戦。オカリナ歴は約3年で得意曲は「ちょうちょう」。カナダ合宿時には「リンドコーチにカナダでいいスポットに連れて行ってもらいました。最高の絶景で吹けました」と明かしており、欠かせない癒やしアイテムの1つとなっている。

 20日の決勝が泣いても笑っても、今大会最後の試合になる。倫子さんは「北京オリンピックは、ロコ・ソラーレの皆で思いっ切りオリンピックを楽しみ、応援してくださっている皆さんがしびれるようなベストパフォーマンスをたくさん見せて、カーリングファンを増やしてください。北京でもオカリナを吹いてきてください」と熱烈エール。金メダルを首にかけ「ちょうちょう」を北京の地で響かせる。