日本オリンピック委員会(JOC)は9日、東京五輪競技34団体とウェブ会議を行った。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で五輪は1年延期となったが、緊急事態宣言の解除を受けて、各競技団体は強化合宿の日程を模索するなど「再開」にかじを切っている。そんな中、意見交換ではアスリートや関係者の安心・安全のためにも、抗体検査やPCR検査の必要性を訴える声が出たという。

 これに対してJOCは「まずは現状の情報収集を」と慎重な姿勢。籾井圭子常務理事は「医療現場に迷惑をかけてはいけないのが大前提。症状が出て優先的に検査を受けなければいけない方々ががいる。スポーツ団体が結託して、そういう人たちを押しのける形になってはいけない」と語る。昨今の世論はスポーツ界への風当たりが強い。それだけに「スポーツ界優先」にならないよう最大限の配慮を払う意向だ。

 一方、コロナ禍による各競技団体の資金繰り悪化を受け、日本政策金融公庫が実施する無利子無担保の特別融資の説明もあった。この融資は中小企業を対象とした国民生活事業の新型コロナウイルス感染症特別貸付で、これまでスポーツ団体も対象になるかが不明確だった。

 籾井常務理事によれば「文部科学省にご協力いただき、対象になることがハッキリした」そうで、4日に行われた説明会ではIOCに加盟する約25団体が参加したという。申し込みを前向きに検討する団体もあり、最終的に審査を経て融資が確定する。

 また、会議の最後には各団体から「来年の五輪を絶対に開催し、成功できるようにスポーツ界一丸となって取り組んでいきましょう」という声が湧き上がったという。福井烈専務理事は「五輪を通してスポーツの価値が認めてもらえるように」と話した。