スペイン1部バルセロナのフランス代表MFアントワヌ・グリーズマン(30)と同FWウスマヌ・デンベレ(24)による日本人に対する人種差別騒動が世界中で波紋を広げている。日本だけでなく同じアジアの中韓、2人の母国フランスでも関心が高まっており、クラブの大スポンサーである楽天も正式に抗議を表明。2人は放出要員になっており〝追放〟は避けられなくなった。

 2人は2019年夏にクラブのプレシーズンツアーで来日した際に宿舎ホテルで日本人スタッフの容姿や言語を嘲笑している動画が流出して大問題になっている。

 5日にそろってSNS上で謝罪したが、デンベレは「たまたま日本だっただけで地球上のどこだろうと同じ表現を使っていただろう。特定のコミュニティーを標的にしたわけではない」と言い訳に終始し、グリーズマンも「私は差別に反対してきたが、そうではない男として私をだましたいと思っている人もいる。私に対する非難に強く反論する」と〝逆ギレ〟。こうした2人の姿勢は火に油を注いでしまった。

 フランスでは多くのメディアがこの問題を取り上げており「ソーフット」は、同国の中国系住民による青年協会のフローラ・マイーノ副会長の見解を掲載。「大きな虚偽と偽善を感じる」と2人の謝罪に怒りをにじませたうえで「国際サッカー連盟(FIFA)、FFF(フランスサッカー連盟)、欧州サッカー連盟(UEFA)などが、選手が犯すこの種の不適切な行動をより頻繁に規制および制裁することを望んでいる」と厳罰を求めた。

 韓国でも放送局「YTN」が「東洋人差別だ!」と日本人だけでなくアジア人に対する差別問題として追及。2人による謝罪も問題解決には不十分として「SPOTV」は「とんでもない謝罪文だ。誠意が感じられなかった」と追及した。

 事態の深刻化を受け、バルセロナとメイングローバルパートナー契約を結ぶ楽天の三木谷浩史会長(56)がクラブ側に正式抗議を表明。自身の公式ツイッター上で「クラブのスポンサーまたツアーの主催者としてとても残念に思います」としたうえで「このような発言は、どのような環境下でも許されるものではなく、クラブに対して正式に抗議すると共に見解を求めていきます」とつづった。

 完全に針のムシロの2人は、かねて今夏の移籍市場で放出される可能性が出ていたが、スペインのラジオ局「RAC」などは改めて2人が放出要員となっていると報道。今回の騒動の影響もあり、退団が確実な状況となってきた。今後は人種差別に対して厳しい姿勢のFIFAが処分に乗り出す公算が高く、チームからの追放だけで済みそうにない。まだまだ騒動は続くことになりそうだ。