急死したサッカー元アルゼンチン代表FWの〝英雄〟ディエゴ・マラドーナ氏(享年60)の9000万ドル(約94億円)とみられる巨額遺産をめぐって新事実が明らかになった。イタリアメディア「カルチョエフィナンツァ」など複数メディアは、マラドーナ氏の弁護士を務めたマティアス・モルラ氏が、故人に関する多くの権利を所有することになると報じた。

 同氏は「マラドーナ」など英雄にまつわる商標権を管理するために約10年前に会社を設立した。自身が代表者を務めているが、同メディアは「共同所有者としてマラドーナの名前はどこにもない」。本人に会社の所有権がないというのだ。合計60近くに上るマラドーナ氏関連のブランド権利をモルラ氏と取締役を務める同氏の兄ポマルゴ氏らが所有する見込みとなった。

 権利関係は今後も利益を生み出し続けるだけに、長女ダルマさん(33)ら遺族も現状に甘んじるわけにはいかない。同メディアは「ディエゴの相続人は、これらの商標を回復するために弁護士に対して訴訟を起こすことを検討している」と指摘。相続争いは混乱に拍車がかかりそうな雲行きだ。

 そんな中、母国のアルゼンチンではノルマ・デュランゴ上院議員が、通貨の1000ペソ(約1280円)紙幣の肖像画にする法案を議会に提出。片面に顔、もう片面に有名なゴールシーンを描くという。年明けにも審議される見通しで、デュランゴ氏は「(国外からの)観光客はマラドーナの何かを持って帰りたいだろう」と主張している。死去から2週間たっても、英雄は多方面で話題を提供し続けている。