新日本プロレスの真壁刀義(49)が、「頸髄損傷」の重傷を負った大谷晋二郎(49)の支援大会として開催される押忍プレミアム興行(4日、東京・大田区総合体育館)へ秘める思いを明かした。大谷は1996年の新日本入門当時に指導を受けた大先輩。レスラー人生最大の危機に立たされた恩人に、自らのファイトでエールを届ける。

 同大会で真壁は永田裕志、本間朋晃、永尾颯樹と組んで関本大介、橋本大地、橋本和樹、中之上靖文組と対戦。大会収益が、4月10日の両国大会で大ケガを負った大谷に寄付される。

 真壁にとって大谷は若手時代の教育係でもあり、1997年2月15日の神奈川大会でデビュー戦の相手を務めてくれた特別な先輩だ。「プロレスラーのイロハを教えてくれた人。俺の根本には、あの人への尊敬しかねえからさ」と感謝の思いを口にする。

 入門当時の90年代中盤の新日本は、今とは比べものにならないほど過酷な環境で、練習量も先輩の厳しさも尋常ではなかった。「あの当時の新日本、残れるヤツ、誰もいないからね。俺の上も2年いないし、下も2年いない。モンスター藤田(和之)と俺しかいねえんだ。どういうことか分かるだろ」

 目立った格闘技歴もなかった真壁が辞めずにデビューできたのは、大谷の丁寧な指導と温かい激励があったからこそだ。

 その恩義は決して忘れてはいない。今大会は二つ返事で参戦を受諾。「ケガをしたってことは、乗り越えられるからこそ与えられた試練だと思ってる。いつも通りのネバーギブアップで戦い抜いて、復帰という形を勝ち取ってもらわねえと。俺さ、世の中にゼロはねえって思ってるから。それはあの人に教えてもらったんだ」と奇跡の復活を信じている。

 そしてそのエールは、リングの上から送るのがレスラーの流儀だ。「あの人の団体だと思うとピリッとするんだよ。あの人に教わった俺じゃんか。あの人の門下生に教えてやるよって。俺様がすげえってなれば、同時に大谷さんもすげえってなるだろ。勝手に俺一人で偉くなったわけじゃねえ。根元には大谷さんの指導があったからじゃねえか」

 何度踏まれても屈しなかったことから、真壁は〝雑草男〟と呼ばれるようになった。今度は自分が「立ち上がる力」を与える番だ。