プロレス界の〝ボス〟だったWWE総帥のビンス・マクマホン氏が表舞台を去って、1か月近くたつ。米経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」に不倫関係にあった元従業員に巨額の〝口止め料〟を支払っていたと報じられ、全米を揺るがす大スキャンダルに。いまだ特別委員会による調査は続いているが、ビンス氏は先月22日に引退を表明し、会長兼CEOの座を正式に退いた。

 だが、このビンス氏引退に違った見解を示したのが、WWE殿堂者でアトランタ五輪レスリング金メダル、元WWE王者のカート・アングル(53)だ。先週、配信された元WWEスーパースターのレネ・デュプリのポッドキャスト「カフェ・デ・レネ」に出演。「レスリングINC」など、複数の米プロレスメディアがカートの注目発言を報じている。

 デュプリからの質問にカートは、ビンス氏の引退をこう否定した。「私としては彼が完全に引退しているとは思わない。ビンスは舞台裏にはいるはずだよ(笑い)。ビンスはあの会社を手放さない。自分の手が冷たくなって、その手がこじ開けられるまで放さないだろう。彼は死ぬまでその会社を手放さない。それだけさ」

 カートはビンス氏とケンカ別れしたことがあり、疎遠な時期も長かったが、「私は死ぬほどビンスを愛している」という。それでも、長女のステファニー・マクマホン氏が会長兼CEOの座を継ぎ、娘婿の〝ザ・ゲーム〟トリプルHがタレント部門の責任者となったことも「彼がイベントを実行できるように、適切なところにみんなを配置している」と言い、ビンス氏はWWEの運営に関与し続けていると指摘した。

 もちろん、これはあくまでカート個人の見解。米メディアは、WWEマットではステファニー&トリプルHの新体制が機能し始めており、ビンス氏は引退してから運営組織から外れ、会社関連の連絡も一切ないと伝えている。

 ただ、カートだけではなく、ビンス氏とケンカしAEWに移籍したCMパンクらも同様の見解を示していたという。カートの注目発言は、ビンス氏がプロレス界でいかに巨大な権力を握っていたかの証明なのかもしれない。