目標の舞台へ大きく近づいた! 女子プロレス「スターダム」のワールド王座戦(3日、神奈川・川崎市とどろきアリーナ)は、王者の林下詩美(23)が葉月(24)を退けV8に成功。V9戦も決まり、人知れず繰り広げている〝もう一つの戦い〟にも打ち勝ち、年内最後のビッグマッチとなる12月29日の東京・両国国技館大会メインに王者として立つ。

 女王らしい貫禄の試合運びだった。10月にスターダム復帰を果たした葉月を相手に、序盤から持ち前のパワーを生かして攻め続けた。逆転を狙う挑戦者から関節技や丸め込みを仕掛けられるも、決定機は与えない。最後はアルゼンチン式背骨折りからトーチャーラックボム、ハイジャックボムのフルコースで3カウントを奪った。

 だが王者に休息はない。すぐさま27日の東京・国立代々木競技場第二体育館大会で迎え撃つことが決まった舞華から挑発され、詩美は「私には両国で朱里が待ってるんだよ。お前に詩美超えなんかさせねえし、このベルトも譲る気ねえよ」と一蹴。12月29日両国大会ではワールド王者と同王座挑戦権利証保持者のタイトル戦が発表されており、現保持者である朱里との対戦を見据えた。

 決戦地である両国国技館は詩美にとって特別な地だ。2019年6月5日の新日本プロレス「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」優勝決定戦を生観戦し、ウィル・オスプレイが鷹木信悟との激闘を制した瞬間を目の当たりにした。

 詩美は「2人の戦いですごく盛り上がって、会場が一体になっていったんですよ。その時すごく感動したんです。『いつか自分も、ここでこんな試合をしてみたい』って思って」と振り返る。

 その上で「朱里となら、あれくらい熱い戦いができると思う。そのためにも、絶対にベルトを持ったまま両国にたどり着かなきゃいけないんです」と語気を強めた。

 待ち受けるのは、リング上の敵だけではない。生まれ育った鹿児島・奄美大島では無縁だったが、ここにきて秋の花粉症に悩まされている。「去年の秋もちょっとおかしいと思う瞬間はあったんです。そしたら今年、鼻水とくしゃみが止まらなくなって…。完全に秋の花粉症になりました…」

 そこで花粉症の〝先輩〟である父の〝ビッグダディ〟こと林下清志さんに相談。「よく効く薬を教えてもらいました」と父推薦の薬を飲んだり、知人からの情報でヨーグルトを摂取するなどして症状改善に努めている。

 舞華と朱里、そして花粉症――3つの難敵を突破し、2年前の誓いを果たしてみせる。