還暦の〝お祝い〟は――。主要3団体のシングル&タッグ王座全制覇の「グランドスラム」を達成したプロレスリングマスターこと武藤敬司(58)が、次なる目標に意外な標的を定めた。13日のノア横浜大会では丸藤正道とのコンビでGHCタッグ王座を奪取したことで、さらなるベルト取りに意欲。還暦を迎える2022年の青写真を描いている。


 13日のノア横浜大会で武藤は丸藤との「天才タッグ」でGHCタッグ王者の清宮海斗、マサ北宮組に挑戦。自ら閃光魔術弾で北宮を沈め、初の同王座戴冠を果たした。

 これで高山善廣以来、史上2人目となる新日本プロレス、全日本プロレス、ノアの主要3団体のシングル&タッグ王座を全制覇。フリーで達成した高山に対し、3団体に所属しながら王座を獲得したことも称賛されるべき点だろう。

 58歳で迎えた2021年は充実の年だった。2月に潮崎豪を破り、GHCヘビー級王座を奪取。さらに今回のタッグ王座獲得で、衰えるどころか結果を残した1年となった。この理由を武藤は「若いやつが俺に注目してくれるのは、正直うれしいよ。これが無視されて蚊帳の外になってたら、それこそ何のためにレスラーやってるのかってなるからさ」とノアの若い世代が自身を標的にしてくれたおかげでもあると力説する。

 その上で、次の1年を「そういう意味でそういう気持ちを、態度で返してやらないと失礼に当たるし。できたら若いノアの選手たちと、また一つひとつ歴史をつくっていければなあと思っていますよ」と殊勝に語った。ノア所属として、さらなる団体の発展に貢献したいという気持ちに変わりはない。

 一方で、58歳にして2本のベルトを手にしたのは紛れもない事実。個人的なタイトルへの欲は増すばかりだ。59歳になる月23日の誕生日をベルトを巻いて迎える可能性が高くなったことを指摘されると、武藤はニヤリと笑った。

「大変だよな。もうすぐ59歳だよ。次は節目だからね。60歳の還暦。このままいけば59歳はベルト持って迎えられるから、60歳の誕生日も…。できるならば赤いちゃんちゃんこ…じゃねえ、赤いベルトがあるだろ? 拳王のやつ。あれを60歳の節目で狙うか。それが俺に似合うじゃん」

 現在は拳王が保持するGHCナショナル王座を、還暦を迎える来年12月23日の時点で巻いているという。「時計の針はそれなりに進んでいるんだろうけど、それに少しでも抵抗していきてえよな」。驚異の58歳は、まだまだ戦いの最前線を走り続ける。