【ノア】潮崎が藤田下しGHC初防衛 開始から30分は“無接触”

2020年03月30日 07時27分

無観客の中、30分近くにらみ合った潮崎と藤田

 ノアは新型コロナウイルス拡大防止のため、29日に後楽園ホールで史上初の無観客試合を行い、GHCヘビー級王者の潮崎豪(38)が、野獣こと藤田和之(49)を撃破。初防衛に成功した。

 藤田は杉浦軍のGHCナショナル王者杉浦貴(49)、IQレスラー・桜庭和志(50)、日本一の偏屈者・鈴木秀樹(40)ら豪華なセコンド陣を帯同して入場。ゴングが鳴ると異様な静けさに包まれたリング上には異常な緊張感が走る。両雄は10分以上も微動だにせず、正面からにらみ合うというシュールな光景が続いた。

 相手の出方を警戒しているのか。いや、先に動いたほうは殺(や)られる――まさに鋭い刀を持った果し合いのようだ。身が削られそうな均衡状態は延々と続く。「15分経過」のアナウンスが流れても両雄は微動だにしない。

 やっと沈黙が破れられたのは16分過ぎ。藤田が右回りでゆっくりステップを踏むと王者も応じるが、コーナーを変えただけで、再度2人は動きを止めてにらみ合う。少しずつ両雄の筋肉が躍動したかにも見えたが何と未接触のまま「25分経過」のアナウンスが流れた。プロレス史でも前例のない異常な展開だ。

 そして「30分経過」の声から1分後、両雄が間を詰め始めた。まず藤田が地をはうような片足タックルからマウントを奪いにかかる。しかし潮崎は左腕で首を押さえ、ヘッドロックも右腕で顔を押さえて防御する。「藤田はエスケープすんなよ!」と挑発しながら太い腕で王者の首を絞め上げた。

 35分経過。藤田は腕を決めてからの顔面絞めから一気にマウントを奪う。「おいこんな練習したことねえのか? 悔しくねえのか? 袈裟固めっていうんだよ!」と罵声を浴びせながら袈裟固め。これを意地で回避した潮崎はようやくスタンディングの上体に戻した。

 ここで潮崎がヘッドロックの態勢に。ロープに飛んでのタックル合戦はお互いが引かない。すると潮﨑は強烈な岩石落とし。藤田は場外に王者を落とし、場外フェンスにしたたか叩きつけた。さらにはエプロン下で後頭部にサッカーボールキックを見舞う。

 ここから野獣が一気に大荒れする。ベルトで王者を痛打すると、何と会場ロビーからエレベレーター前、2階バルコニーまで上って王者を突き落とそうとする。さらには強烈な蹴りで大の字とさせ、リングアウト勝ちを狙う。

 45分、意地だけで潮崎がバルコニーから戻っても藤田の猛攻は止まらない。ボディースラムから逆エビ固めでグイグイと締め上げた。約1分も耐えた王者は何とかロープに逃げた。

 そして潮崎が反撃のブレーンバスター、ダイビングショルダーアタック。50分経過のアナウンスから一気に猛攻だ。脳がしびれるような顔面への張り手8連打を食らっても倒れず、袈裟切りチョップ、鬼の形相で逆水平マシンガンを叩き込んだ。

 ここで野獣はニーリフトで動きが止めると、エプロンからスリーパーでぶっこ抜く破天荒な攻撃に出る。さらにはパワーボムから顔面へのサッカーボールキック2連打で王者を追い詰めた。

 しかし潮崎はスリーパーを背中からコーナーに押し込むと強烈な逆水平連打。張り手5連打にも耐えるとカウンターのラリアート。ジャーマンを浴びても立ち上がり、ほうこうを上げての豪腕ラリアート。2発目は藤田が若手時代から得意とする奥の手・フランケンシュタイナーで返されてしまう。

 ラリアートからリミットブレイク、横殴りのラリアート連打。藤田も張り手を返すと、試合はもはやほとんど素手の殴り合いのような壮絶な展開となった。

 しかし意を決した潮崎は居合い抜きのラリアート。それでも藤田は倒れない。ならばとありったけの力を込めた豪腕ラリアートを振りぬいて、実に57分47秒の激闘を制した。

 ノア史上初の無観客試合のメインで最強挑戦者を退けた潮崎は感極まった表情で「画面の向こうにいるみんな、ひとつだけ言わせてくれ。アイ・アム・ノア!」。無人の場内には、目に見えない数万人からの大歓声が響いているかのような熱気が充満した。

「藤田選手の威圧感はハンパじゃなかった。よりデカい存在になった。俺にとっては1試合の防衛戦よりも得るものは大きかった。でもやっぱりみんながいてくれないと。来てくれるお客さん、みんなと一緒でノアだから!」と潮崎は誇らしげにベルトを掲げた。