新日本プロレス「NEW JAPAN CUP」3回戦が15日岡山大会で行われ、棚橋弘至(45)が内藤哲也(39)に敗れトーナメントから姿を消した。

 2020年9月のG1クライマックス公式戦以来となる内藤とのシングルマッチ。左ヒザに集中砲火を浴びせた棚橋は、デスティーノをツイストアンドシャウトで切り返し攻勢に。スリングブレイド、ハイフライアタックからハイフライフローを狙う。

 だが、踏み切るまでにわずかに時間がかかってしまい、必殺の一撃が間一髪でかわされてしまう。そのスキを素早くジャックナイフ式エビ固めで丸め込まれ3カウントを奪われてしまった。

「春は遠いなあ…これで通算、内藤に(8勝7敗1分けで)負け越し…」と敗北を噛みしめた棚橋だが、この日ばかりはいつまでも落ち込んでいられなかった。「俺さ、昔さ、とある外国人レスラーにさ…『ユーはフューチャーだ』って言われたんだ。デビューしたての若手で『お前がフューチャーだ』って言ってもらったことがある。どれぐらい自信になって、やる気につながったか。だからこそ、もう1度さ、もう1度頑張るよ」

 若手時代の棚橋に賛辞を贈ってくれていたのは、この日急死したスコット・ホールさんに他ならない。レジェンドレスラーのホールさんは2001年3月から「TEAM 2000」のメンバーとして新日本に再参戦。棚橋は同年9月の千葉・東金大会でシングルマッチを行い、大金星を挙げたこともある。この試合後にホールさんは「あのキッズ(棚橋)はカネになるぜ」と周囲に語っていたという。

「お前がフューチャーだ」の言葉にも象徴されるように、棚橋は生前のホールさんから高く評価されていた。この日の入場時にはホールさんの代名詞だったつまようじを投げ捨てるポーズも見せたのは、追悼の意の表れだろう。

「もう一度頑張るよ」の後に棚橋はこう言葉を続けた。「立派になったところを、見てほしいじゃん」。天国の〝バッド・ガイ〟の予言通りプロレス界のエースに上り詰めた男は、何度でも立ち上がる。