栄光と歴史のベルトをこの手に再び――。全日本プロレスの3冠ヘビー級王者・宮原健斗(30)が、V10達成に向けて新たなプランを描いている。新年最初の3冠戦(3日)はジェイク・リー(30)を退け、V9に成功。川田利明(56)が保持する最多連続防衛記録に王手をかけた。偉業達成の暁には「ある夢」を実現させる決意だ。

 2020年の3冠戦幕開けにふさわしい大激闘だった。これが同王座3度目の挑戦となるジェイクは、開始から強烈なミドル、ニーリフトで攻め続けた。しかし王者は咆哮を上げては立ち上がり、決定打を許さない。ニーリフト連打、岩石落としに耐えるや、顔面へのブラックアウト(ヒザ蹴り)で流れを変える。最後は滞空時間の長いシャットダウンスープレックスホールドで終止符を打った。

 その直後には宮原の相棒、青柳優馬(24)が急襲。王者にジャーマンを放ち「3冠戦を下で見てるのは飽きた。俺がベルトを奪いにいく!」と反旗を翻した。宮原は「俺、人望ないな~」とボヤきながらも「待ってたぜ。遅すぎる。これからプレッシャーを与えてやるぜ」と挑戦を快諾。V10戦での激突が決定的になった。

 最多連続防衛記録に並ぶ一戦に向けて、胸に秘める目標がある。現在の3冠ベルトは13年に一本化され、それまで使用された3本のベルト(PWF、インター、UNヘビー)は団体創設者である故ジャイアント馬場さんの遺族に返還された。しかし昨年2月19日に開催された馬場さんの「没20年追善興行」(両国)で3冠王者の宮原がメインのリングに立った際、遺族の計らいで旧3本のベルトが一夜限り復活。新旧4本のベルトを巻いて入場した。

 ならば今度は、全日本のリングで実現させる。「歴史の重みを感じた。V10を達成して新たな歴史を刻んだ時にもう一度、4本のベルトを巻いた姿をファンの皆さんにお見せしたいですよね」と目を輝かせた。V10戦は2月シリーズにも実現する見込みで、今年上半期にもV11の新記録樹立が見えてくる。「V10、そしてV20の区切りに全日本プロレスの歴史を確認したい」。令和の王道マットを背負うのはやはり、この男しかいない。