夢の競演は一夜限りでは終わらない――。東京・後楽園ホールが60周年を記念して初開催した「還暦祭」(15、16日)初日、「女子プロレス・ドリームフェスティバル」と銘打たれたメモリアル大会に総勢44人の女子レスラーが参戦。メインでは「スターダム」の〝闇の黒虎〟スターライト・キッドが予告通り、大会の主役を奪取した。これで発言権を得たと豪語し、次回は東京ドームでの「オールスター戦」復活を提唱。関係各所からも次々と賛成の声が上がった。


 宣言通りメインで勝利を奪ったキッドは「こんなすごいメンバーが出てる中のメインで私が勝利したということは、発言権をもらってもいいかな~」と切り出すや「これが実現できたのはすごいことだと思うし、年に1回くらい、またこういうのやっちゃってもいいんじゃないかなって。そのほうがスターダムにも刺激になるし、私自身も他団体の選手ともっとやりたい」と呼びかけた。

 今年1月に業界盟主の新日本プロレスとノアが対抗戦を開催し大きな反響を呼んだ。ならば女子でも還暦祭を機にスケールアップして、各団体が集まる交流戦を定期的に開催するべきだという。

 希望する会場は一つしかない。「昔だったら東京ドームだったよね。スターダムで東京ドームを実現させたいとずっと言ってるけど、オールドファンをよみがえらせるためにも、東京ドームでやっちゃっても面白いんじゃない。今日はいろいろな団体が集まってやった興行だったけど、その時は全面団体対抗戦だとめっちゃ面白そう」

 1994年11月20日には、当時の全日本女子プロレス主催の東京ドーム大会が行われ、各団体が集まる伝説のオールスター戦となった。当時、興行に携わったスターダムのロッシー小川エグゼクティブプロデューサーは「オールスター戦復活? 面白いと思いますよ。ただ、中立なところが音頭を取らないと難しいと思う」と語る。

 また、アイスリボンの佐藤肇社長は「東京ドームや後楽園ホールに毎年やってくださいと言いますよ。一つの団体がやると、どうしても疲弊してしまう。団体の枠を超えたことができるのは、団体ではないところがやるほうがいい。うちは話があれば、いつでも協力します」と賛同する。

 今回の還暦祭は後楽園ホールが主催したことで実現した。同様に特定の団体が音頭を取るのではなく、中立な立場の主催者が開催するなら各団体とも全面協力する意向だ。後楽園ホール支配人の髙山和彦氏も「そういう機会があれば、またやりたいなと思いますね。調整とかは大変ですが、またそういう声があれば実現に向けてやっていければと思います」と前向きな姿勢を見せた。

 各方面から賛同を得たキッドは「東京女子の試合はあまり見たことがないけど、出てきてほしいね。東京女子から何人かスターダムにも来てるわけだから。そういうところで対抗戦をしたら、今こっちにいる元東京女子メンバーが自分がいた時との差を見せつけてほしい」と還暦祭に出場しなかった東京女子プロレス勢の参戦も希望する。

 その上で「女子プロ団体全部に出てきてほしい。どこの団体がスターダムと対抗できるか。オールスターはやりたいけど、しょせんそんなふうにしか見ていない。スターダムを追い越すくらいで他の団体もきてほしい。トップというのはうれしいけど、敵対する団体が出てこないとマンネリ化するから」と不敵な笑みを浮かべた。

「今後の女子プロレス界は私が中心となっていくでしょう」。キッド提唱の〝夢のオールスター戦〟は復活するのか注目だ。