全日本プロレスの「ヨシタツキングダム」を率いるヨシタツ(44)が2日、女性グループ「SPEED」の元メンバーで自民党の今井絵理子参院議員(37)に〝アポなし突撃〟を仕掛けた。

 突然本紙を東京の参議院議員会館前に呼び出したヨシタツ。場所が場所だけに嫌な予感を感じながら待っていると、満面の笑みで登場した。着ているTシャツには「国会にヨシタツ幻想(ファンタジー)」の文字。できれば他人のふりをしたかったが、そうもいかないので目を合わせると「これから今井議員のところに行くぞ。ディーバの件で調印書にサインをもらわないと…」と話し始めた。

 いったん、話を整理しよう。ヨシタツは17日のHEAT―UP・神奈川・川崎市とどろきアリーナ大会に出場し、今井議員の長男・今井礼夢(16)とシングル戦を行う。先天性難聴という障害を抱えながら昨年12月にデビューし将来のWWE挑戦を目指す礼夢から、その舞台にかつて所属したヨシタツが対戦を求められ応じた形だ。

 その礼夢にヨシタツは7月のカード発表会見で「もし俺が勝ったら、今井絵理子さんをヨシタツキングダムのディーバにさせてもらう!」と要求。だが礼夢は純粋にも「ならば自分が勝ったらヨシタツキングダムに入れてほしい。そしてアメリカに連れて行ってください」と要求を受諾するとともに弟子入りを志願し、SPEEDのメモリアルブックで〝調印〟までしてしまった。

 ヨシタツは、その経緯を踏まえて「言っても礼夢君は未成年だし、ディーバになるのは今井議員。だから合意とサインが必要でしょう」。妙なところはまじめで、スケッチブックに描いたデザイン画(?)を自慢げに見せながら「これが俺の考えたコスチュームです。ディーバになったらこれを着てもらう。テーマは〝コギャル+ロード・ウォリアーズ〟。いいでしょう!」と鼻息を荒くした。一通り説明すると「じゃあ、俺が先に入って説明してくるんで待っててください」と肩で風を切り参議院議員会館に入っていった。

 それから数十分後…。待ちくたびれる我々取材班の前に戻ってきたのは、肩を落としたヨシタツ1人だった。まさかの「本当のアポなし直撃」だったようで、今井議員サイドから公務のため時間が取れず対応できないと、やんわりお帰り願われたのだという。ヨシタツはそのまま傘を差し、うなだれながら帰宅。秋の到来を知らせるように降りしきる雨は、彼の心の涙だったのかもしれない。