暗闇の中にひと筋の光も…。巨人は10日のDeNA戦(新潟)に1―3で敗れ、今季最悪の5連敗を喫した。振り向けば4位・中日に0・5ゲーム差に迫られた一方で、ある〝異常事態〟が解消に向かい始めた。主将の坂本勇人内野手(33)やエース・菅野智之投手(32)らが同時期に故障離脱し、再調整の場であるジャイアンツ球場の総年俸額が30億円近くに上っていたのだ。


 またもや攻守がかみ合わなかった。この日は計4安打で2併殺の拙攻。先発した山崎伊は2回から6回まで無失点で抑えたが、初回に喫した3失点が最後まで重くのしかかった。これで1勝9敗となった直近10試合は23得点。原監督は「もっと打たないとね。打線のチームだから。ピッチャー陣をカバーしてあげないとね」と奮起を求めた。

 チームがグラつき始めたのは、ちょうど大型連休が始まった4月29日の阪神戦(東京ドーム)から。菅野が右ヒジに違和感を発症して登録抹消となり、右ヒザのじん帯を損傷した坂本も今月から戦列を離れた。投打の軸が向かった先はファーム施設のG球場。年俸は2人とも6億円で一気に12億円もハネ上がったが、他にも高額年俸者はまだまだ眠っていた。

 4年契約2年目でリハビリ中の梶谷(2億円)をはじめ、制球難で再調整となったビエイラ(1億4900万円)や打撃不振のウィーラー(1億1500万円)、2年契約最終年の井納(1億円)らが汗を流す。一軍初昇格に向け、再来日後の調整を行う新助っ人のアンドリース(2億7000万円)らも含めれば、その総額は約27億円に上った。

 避けられないアクシデントによる故障など個々に事情はあるが、ライバル球団の関係者からは「いろんな意味で巨人はやっぱりすごいよね」と本音とも皮肉ともつかない声もあった。

 まるで〝埋蔵金状態〟となったが、異例の事態もいよいよ解消に向かい始めた。中田翔内野手(33)がこの日から一軍に再昇格し、さっそくマルチ安打をマークした。昨オフの契約更改で1億9000万円の大減俸を食らったものの、今季年俸は1億5000万円だった。さらに、菅野も12日のDeNA戦(横浜)で先発登板するメドが立ち、坂本もティー打撃を再開して復帰に向けて段階を上げた。

 我慢の時が続く巨人。役者たちが本来いるべき場所に戻ってくるまで、今いるメンバーでどうにか窮地を乗り切るしかない。(金額は推定)