〝真打ち〟は後からやってくる――。阪神のドラフト5位ルーキー・岡留英貴投手(22=亜大)が18日から兵庫・西宮市内の鳴尾浜球場で行われている新人合同自主トレに合流した。

 帰省先の沖縄で5日に新型コロナウイルスの陽性判定を受け、自宅で静養。一部別メニューながら、久々に屋外で汗を流し「思ったより動けています。焦ってケガをするのが一番良くないと多くの方に言われたので、自分の体と相談しながらやっていきたい」などと晴れやかな表情で話した。

 サイドスローから繰り出す最速150キロの直球に加え、高い制球力とリリーフ適性を併せ持ち、下位指名ながら即戦力との呼び声も高い。球団OBの藤川球児氏(41)も自身のユーチューブチャンネルで岡留の動画を見るや「よく練習している体。この投手は使えますね」と早々に太鼓判を押したほどだ。

 阪神の主戦投手として1990年代に活躍し、98年にはノーヒットノーランを達成した川尻哲郎氏(53)も岡留の能力に高い期待を寄せている一人。「自分と同じ亜大出身のサイドスロー投手ということもあり、注目している。サイド系の投手として注意してほしいのは、天敵となる左打者への対応。幸い同じチームに青柳くんもいるし、存分に左打者への配球や対策を学んでほしい。1年目から一軍で活躍してくれるといいね」と語る。

 青柳は入団1年目の2016年から20年まで左打者に通算863打数252安打、打率2割9分2厘と打ち込まれ、19年には3割3分2厘とカモにされた。それが昨季は361打数87安打で2割4分1厘まで抑え、13勝を挙げて最多勝と最高勝率の2冠に輝いた。岡留にとっても、これ以上ない生きた教材だろう。

 阪神は絶対的守護神だったスアレスが昨季限りで退団し、救援陣再編が急務となっている。岡留が勝ちパターンの一角に食い込めば、17年ぶりのリーグ制覇も現実味が増してくるはずだ。