貯金ラッシュで先行逃げ切りや。DeNA3連戦(横浜)を2勝1敗で勝ち越した阪神は10日現在で今季最多の貯金14。DeNAとの対戦成績を7勝2敗とした。

 お得意様から星を取りこぼさないことは優勝チームの絶対条件だ。18年ぶりにセ・リーグを制覇した2003年当時の阪神も、同じく最下位に沈んだ横浜(当時)からシーズン通算22勝6敗と白星を〝乱獲〟。前半戦終了時点で40近い貯金を積み重ね、セ・リーグ史上最速となる7月8日時点でのマジック49の点灯につなげた。

 当時、現役で優勝メンバーに名を連ねたOBの川尻哲郎氏(52)は「大幅な若返りに成功した半面、リーグ優勝経験選手がほとんどいない阪神が今季優勝するためには、やはり先行逃げ切りの形が最も望ましい」とした上で「03年のように前半戦までに貯金を35前後までつくってくれれば」と後輩ナインたちに期待を寄せる。03年の星野阪神も8月以降は勝率5割を下回ったが、前半戦の貯金に助けられ逃げ切りVに成功した。

 というのも後半戦の息切れはいわば猛虎の〝お家芸〟。同じく優勝への期待値が高かった08年、10年、15年などのシーズンは秋以降に大失速を喫し、無残なV逸を何度となく繰り返した。人気球団ゆえに、周囲からの過剰な期待がシーズン最終盤に重圧となってしまう可能性も否定できない。

 現在の阪神は主砲の大山に加え、チームトップの5勝を挙げていた右腕・ガンケルが負傷離脱するなど、状況は決して万全ではない。だがライバル巨人もエース菅野と打線の中心・坂本が抹消中。昨季まで散々に苦しめられてきた天敵の中日・大野雄は上肢のコンディション不良で、広島のエース・大瀬良も右ふくらはぎの筋挫傷でともに二軍調整中だ。

 混沌としつつあるセ界情勢から抜け出すためにも、今のうちに少しでも多くの貯金を積み重ねておきたいところだ。