【2020ドラフト会議】4球団競合の末、阪神・矢野監督が当たりくじを引いた瞬間、佐藤輝明内野手(21=近大)の表情には不自然なほど変化がなかった。「どこの球団にいっても頑張ろうと思っていたので」と特に理由はなかったようだが、リモート形式で野球部の仲間たちから祝福を受け取るとようやく頬を緩めた。

 最大の魅力は関西学生リーグ新記録の14本塁打を放った規格外のパワー。佐藤も「本塁打を40本、50本と当たり前に打てるような打者になりたい。(左打者に不利とされる甲子園の)浜風に負けないような強い打球を打ちたい」と高い志を口にした。

 高校まで全くの無名選手だった佐藤を育て上げた近大の田中監督は大阪・上宮高監督時代に指導した元広島の黒田博樹氏と比較し「(佐藤は)育ちがええのかマイペースすぎてね…。彼がプロで大成するタイプなのか全く想像がつかない」と正直に明かす。「広角に長打を打てる彼なら(浜風の吹く)甲子園でも本塁打を量産できるかと言えば、そんなに甘くはないですよ、一軍の投手は。プロに行っても、もっとガムシャラにやらないと」とエールも厳しい。

 さらには「外野守備なんかもね、なかなか(打球に)飛び込もうとしない。ドロドロになれないタイプなんですよ。『それじゃあ(プロでは)淘汰されるぞ』とは伝えました」。聖地・甲子園の土にまみれて泥臭く成長できるか注目だ。