少し不謹慎かもしれませんが…麻雀でわかる野球選手の本性

2020年05月29日 16時30分

写真はイメージ

【赤坂英一 赤ペン!!】「こういうご時世になっちゃうと、うっかりこういう話もできないよな」

 ある球界OBは、こう言って牌をつまんだり、ジャラジャラと洗牌するしぐさをしてみせた。東京高検の黒川前検事長が賭け麻雀で辞職に追い込まれ、その影響がプロ野球界にも及んでいるというのだ。

 私がこの仕事を始めた30年前は、どこの球団もキャンプや遠征先の宿舎に麻雀部屋を作っていたものだ。寮では一部選手部屋に雀卓が常備され、そこに寮生が集い、夜な夜な、チー、ポン、ロン!とやっていたのである。

 当然、取材活動の一環として、一緒に卓を囲む記者も少なくなかった。どれほどの賭け金がやりとりされていたかは置くとして「麻雀は選手の本当の性格を知ることができる」と、麻雀に強い先輩記者は言っていた。

 例えば、死球も辞さぬ強気の内角攻めで有名な某名球会投手は、麻雀の打ち方は大変堅かった。普段からタンヤオ狙いで、役満をツモれそうになっても、その前に安い手ができるとすぐにアガってしまうんだとか。

「アイツは強気なように見えて、実は小心者なんだよ。野球でも打ち込まれるともろかったもんな」とは、この投手と卓を囲んだ同僚の弁である。

 現役時代、チーム一の熱血漢キャラで知られた巨人OBの打ち方も興味深い。気迫満点のプレーで売っていたが、麻雀では安打製造機のように打ち方がクールで一貫していた。そういえば、野球も喜怒哀楽を前面に出していた割に、打率は結構安定していたものだ。

 野球も麻雀もめちゃくちゃ強かった、と伝説的存在になっているのは、あるチームの元4番で監督も務めた大物OB。同僚も若手も卓を囲んだらスッテンテンにされたというが、いつも“ある時払いの催促なし”の太っ腹。だからか、監督就任後、チームが低迷しても人望までは落ちなかった。

 傑作な麻雀エピソードの持ち主といえば巨人・長嶋終身名誉監督。遠征先の宿舎ではいつも黒江氏や土井氏と卓を囲んでいたが、誰かがアガって裏ドラがついたら、隠し持っていた同じ牌を取り出し「やっぱりコレが裏ドラだったな!」と悦に入っていたそうだ。

 長嶋さんが監督時代に巨人入りした高橋由伸も慶大時代は麻雀に強かった。合宿所の近所の雀荘には、四暗刻や国士無双をアガった記念の短冊が飾られており、大三元と緑一色を同日に達成した記録まであるという。

 当分はこんな麻雀話も気軽にできないのだろうか。寂しい限りだ。

 ☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」「プロ野球第二の人生」(講談社)などノンフィクション作品電子書籍版が好評発売中。「失われた甲子園 記憶をなくしたエースと1989年の球児たち」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。ほかに「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。日本文藝家協会会員。