本紙評論家・前田幸長氏が訴えた コロナ禍で練習ができないボーイズリーグの苦悩

2020年04月14日 16時30分

選手たちの練習を見守る前田氏(写真は本人提供)

 新型コロナウイルスの感染拡大で中学野球にも深刻な影響が広がってきた。政府から7都府県に緊急事態宣言が発令されたことを受け、日本少年野球連盟(ボーイズリーグ)も対応に苦慮。東日本ブロックに属し、2013年に創設3年目で全国制覇を成し遂げた強豪「横浜都筑中央ボーイズ」も5月6日までチーム活動の禁止を強いられている。約130人もの中学生メンバーが属する同チームの会長でもある本紙評論家・前田幸長氏に苦悩と本音を聞いた。

 一刻も早く沈静化してほしい。世界中の人々と同じく、感染拡大に歯止めのかからない神奈川を生活拠点に置く前田氏も毎日祈るような思いを募らせている。コロナショックによる緊急事態宣言の発令について「国からこういう形で自粛しなきゃいけないと言われていることは、もちろんやらなければいけない」と理解を示し、自宅待機と自粛に努める毎日を過ごしている。

 その半面で中学野球チームの指導者としての苦悩が表情に現れる。「未来のある子供たちのことを考えると、これから先がとにかく心配」と顔をしかめる。

 プロ、アマ球界と同じくボーイズリーグも3月に開幕予定だった「第50回春季全国大会」が開催中止に追い込まれるなどコロナショックの余波にさいなまれている。前田氏自らが会長を務めるチームは現在も活動休止中。3月中旬過ぎに一度はチーム練習が人数制限や時間限定などの条件付きで連盟側から容認され、再開の動きが見えかけてきたものの結局覆されざるを得なかった。

「(国の)指針があいまいなところも正直あるのではないか」と前田氏。緊急事態宣言では外出自粛こそ呼びかけられてはいるが、外で体を動かす人の姿も目立つ。安倍首相が「今まで通り、外に出て散歩をしたり、ジョギングをすることは何ら問題ありません」と発言し、スポーツ庁も感染リスクがない環境下での運動は問題ないとの見解を示したことで“後押し”されている格好だ。

 前田氏は「難しいところなのかもしれないが」と前置きしつつも「どうしても矛盾が生じてしまっている。チームで子供たちを預かる側として言わせてもらえるなら、リスクがない形での運動が認められるならば、体を動かすために個人での練習の場を設けたりすることぐらいは認めてあげてほしいなというのが本音。危機的状況なのは理解しているし、徹底しなければいけない。でも一方では認められていることが『チーム活動』というくくりにされて何から何まで禁止だと言われるとなると(チームの)子供たちもかわいそう」と困惑している。

 野球道具を持っていても今の日本では、キャッチボールすら禁止されている公園がほとんどだ。だから世の野球少年たちはチーム活動を止められると、満足な個人練習ができない。そうした苦境にあえぐ現状が、ボーイズリーグを含めた中学野球界にはある。

 ちなみに先日、前田氏は近所の公園を散歩していたところ少年たちが元気よくサッカーボールを使って遊んでいる光景を目にしたという。「さぞかしストレスがたまっているから発散につながるんだろうなとは思った。確かに外だし、人数が少ないからリスクはないと言えるかもしれない。でも、あれが何となく認められているならば、少人数と言わず個人練習なら活動禁止にしなくてもいいのではないかとも感じている」と指摘した。

 そして最後に「今は昔と違って子供たちは野原を駆け上って木に登って遊ぶという環境に恵まれているわけではない。“命に代えられない”という国難であることは重々承知しているが、野球少年たちの大事な成長過程を奪わないためにも、もう少し分かりやすく適切なガイドラインを政府には設けてほしいとお願いしたい」。

 緊急事態宣言には発令対象となった都府県の住民から「基準が分かりにくくバラバラ」との不満も強まっている。前田氏の主張も中学野球界からの切実な声として政府は耳を傾けるべきだろう。