とにかく明るい。10年前、22歳でパ・リーグ本塁打王に輝いた左のスラッガー。平坦な道のりではなかったが、喜びも苦悩も全て糧にしてきた。オリックス・T―岡田外野手(32)が好調を維持したまま復活を期するシーズンを迎えようとしている。

 オープン戦最終戦となった15日の阪神戦(京セラドーム大阪)では「7番・一塁」で先発出場。4回無死からソロ本塁打を中堅左に運んだ。本人も「当たりは完璧でしたが、打球が低かったのでまさか入るとは」と驚いた会心のオープン戦3号は再起への号砲だ。

 好調の要因は、昨オフに参加したプエルトリコのウインターリーグにある。昨季は主力となってからワーストの出場20試合で打率1割2分、1本塁打、2打点に終わり、再起を懸けて57日間の武者修行に臨んだ。

 成績は出場22試合で打率2割、4本塁打、9打点と特筆するものはない。それでも外国人特有の動くボールを手元に引きつけて打つことと、ゴロアウトにならないことを意識。各国の若手から技術的な質問も受けるうちに「自分自身を見つめ直せた」と手応えを実感した。

 現地での生活も「本当にいろんなことがありました。自炊とかも新鮮でした。豚肉ひとつにしてもごっつい塊のままで売ってたり」と、いい刺激になった。輝いた目で海外生活を振り返る姿は、若かりし岡田貴弘に戻ったかのようだ。

 メンタル面、技術面のベクトルがしっかりかみ合った。心身ともに好感触のまま、休むことなくオフもトレーニングを続行し、ここまできた。今季の目標はずばり「キャリアハイ」だ。