鳥谷 引退危機から急転ロッテ再浮上 選手からは待望論噴出

2020年01月19日 11時01分

鳥谷敬

 昨年、阪神からの引退勧告を拒否して自由契約となったものの、いまだに去就が決まらない鳥谷敬内野手(38)の周辺が、にわかに注目されている。一部で「このまま引退か」ともささやかれるなか、ここへきて獲得の可能性がある球団が複数あることが分かった。その一つが「球団が難色を示していた」とされるロッテ。すでに選手からも待望論が噴出するなど、キャンプを前にした近日中にも、何らかの動きがありそうな状況だ。

 鳥谷は昨季限りで阪神を退団した当初、公私にわたって親交が深い井口監督が指揮を執るロッテへ移籍することが有力視されていた。

 ところが、当のロッテは現時点で獲得の意思を示していないばかりか、球団関係者も「その件(鳥谷の移籍)はもう立ち消えでしょ。ウチは若手育成にかじを切ったわけだからね。いくら彼(鳥谷)が(井口)監督と親しくてもベテラン獲得となれば球団、チーム方針に反するわけだから」と獲得を否定してきた。

 だが、鳥谷のロッテ入りは完全に消滅したわけではなかった。球界関係者によると「井口監督は鳥谷の獲得をまだあきらめていないようだ。鳥谷サイドも条件面などで軟化しており、どうなるかわからない状況だと聞いている。キャンプまでに動く可能性はある」という。

 舞台裏では何が起きているのか。関係者の話を総合すると、鳥谷サイドの希望した条件とは、金額よりもある程度の出場試合数を確保することだったという。だが、球団側が「若返り」を理由に出場試合数を契約に盛り込むことに難色を示し、交渉はストップ。それでも井口監督だけでなく、選手や球団OBたちからも「鳥谷獲得」を望む声が噴出し、鳥谷サイドも軟化の兆しを見せてきていることから、交渉が一気に進む可能性が出てきたという。また、ロッテ以外にも「条件にこだわりがないのなら…」と関心を寄せている球団があることも分かった。

 実際、現在自主トレ中のロッテ主力選手は「球団の育成方針は間違っていないと思いますが…」と前置きしながら、現場の声をこう明かす。

「実は鳥谷さんが阪神を退団して以降、選手の間ではロッテに来てほしいという意見が圧倒的に多いんです。野球に対する取り組み、姿勢がお手本になるほど素晴らしいと聞いているので、みんな『一度一緒にやってみたい』と。それに戦力としても内野の全ポジションを守れた(鈴木)大地が楽天に移籍してしまったので、内野のバックアップ要因が手薄です。若手が育っているとはいえ、シーズンを通して活躍できるか、となると不安が多い。優勝を狙うなら鳥谷さんが必要だと思います」

 球団OBも「若手育成というけれど、そのためにも鳥谷の力は必要。キャプテンシーもあるし、試合に出たいとアピールする姿勢や、練習に取り組む姿勢など、若手に見てもらいたいところはたくさんある。若手と本気で競争させたら、ロッテは確実に強くなると思うよ」とほぼ同意見だ。

 ロッテではこれまで、この時期に去就が決まっていない選手を入団させる際には、春季キャンプでテストを実施するパターンが目立っている。2年前には大隣(現投手コーチ)が同様の流れで入団。現在の今岡二軍監督も阪神を自由契約になった翌年の2010年春季キャンプにテスト生として参加し、入団した。

 果たしてキャンプまでに鳥谷の去就は決まるのか。それとも――。

【ロッテの内野事情】ロッテの今季内野陣は4番候補の一塁・井上を筆頭に、二塁に中村、三塁には昨季チーム最多の32本塁打を放った助っ人・レアード、昨季イースタン打撃3部門(本塁打、打点、安打数)でリーグトップに輝いたプロ3年目の安田も控える。

 ショートもプロ3年目藤岡と同5年目の平沢がいるため、一見すればコマ不足には見えない。だが、レアード以外は一軍で確固たる実績を残しているとは言い切れない選手ばかり。ケガにより戦線離脱の可能性も否めない。となれば、豊富な実績に加え、内野の複数ポジションを守れる鳥谷は戦力としても必要な存在といえそうだ。

 現在、鳥谷はハワイなどで自主トレを行っている様子。昨年12月に出演した関西テレビのスポーツ番組で「他の球団から声がかかるのを待っている状況」などと現状を説明している。

 例年、新規選手の契約可能期間は7月31日まで。鳥谷は独立リーグなどでプレーする意思はないとされ、3月20日の開幕までにNPB球団からのオファーがない場合、7月31日を待たずに進退を決めるとみられる。