過去を振り返らない男が語った「理想」とは――。巨人・菅野智之投手(30)が16日にジャイアンツ球場で自主トレを公開した。

 今季はチームの日本一を前提に、目標はシーズン20勝。さらには東京五輪出場と金メダル、その先には悲願のメジャー移籍も見据えるが「たくさん目標はありますけど、まずは目先の開幕にピークをもっていく。その中でいい状態で開幕を迎えられたら、次の目標、また次の目標となってくると思う。今年は積み重ねのシーズンにしたい」。地に足をつけ着実に歩みたいとした。

 すべてを実現させるには、昨季苦しんだ腰痛からの完全復活が絶対条件。昨年までは高速シンカーなどの変化球や新たな投球術の習得など、大きなテーマを掲げてきたが「それは全力で投げられるようになってから。まだイメージ湧かないです」と封印中だという。しかし絶対エースの頭の中には、ひそかな“裏テーマ”が存在する。

 それは17勝5敗、防御率1・59をマークした2017年の投球フォームだ。菅野は「そのときの体と、今は絶対に違うし、同じフォームにならないのは分かっている」と前置きしながらも「理想は17年。そういう、いい時のイメージをしながら、自主トレをやっていってという感じですね」と明かした。

 なぜ17年なのか。2年連続で沢村賞を受賞した18年には10完投、8完封と無双状態だったが…。菅野は「自分の中では、18年のシーズンって、そこまで調子のよかったシーズンじゃないんですよ。17年が本当に調子良かったです。最初から最後まで」と語ると、具体的なポイントの一つとして「投球時の(軸足の)右ヒザの動き」を挙げた。

 左足を前へ踏み込むとき、右ヒザの位置が捕手の方向へ真っすぐスライドしていく理想の形ができていたという。昨季は腰痛の影響もあってか、右ヒザが捕手に向かって斜め前になることでインステップ気味の投球になっていた。こうしたことをオフに徹底分析できたことが、充実した自主トレにもつながっている。

 すでに3月20日の開幕投手を言い渡されていることもあり、今後の調整は「自分で日程を見ながら逆算しているところです」と菅野。明確な目標とテーマを持ち、節目となるシーズンをスタートさせる。