昨秋に阪神の新打撃コーチに就任した井上一樹コーチの“スパルタ哲学”に球団内から「イイネ!」の嵐が巻き起こっている。

「俺は厳しいぞ。(選手は)兄貴であり親父でありといってくれた感じで接してほしい。やる気があるならどんどん言ってこい。朝から夜にいつでも付き合う。ただ、そういうのが見えない選手は俺は放っとくよ」と就任直後に宣言した井上コーチは高知・安芸での秋季キャンプでも、有言実行の熱血指導を敢行。居残りでの打撃練習に臨む片山ら若手ナインに、日没まで付きっきりで寄り添い、自身の打撃理論を注入した。

「遠慮してもしょうがない」や「ガムシャラにならないやつは置いていく」などのスパルタ哲学の下、今季は慢性的な得点能力不足に苦しんだ阪神打撃陣の再建に取り組む姿勢にはチーム内からも拍手喝采が送られている。あるチーム関係者は「今季は矢野監督のチーム方針のおかげで、おおむねいい雰囲気で選手たちはプレーできていた。ただ、チーム状態が悪い時に引き締めることができるコーチがいなかったのも事実。そこを井上さんにお願いしたい」。

 金本前監督体制とは打って変わり“温厚型”が多く揃った矢野内閣における“鬼軍曹役”を担うことが期待されているのだ。

 中日での現役時代に同じ釜の飯を共にした矢野監督から直々に“入閣要請”を受け「悩むところもあったが、イバラの道と分かっても」とタテジマに袖を通すことを決断した井上コーチ。手腕と熱意には期待が集まる一方だが果たして――。