【核心直撃】今季限りで現役を引退し、古巣・巨人にコーチとして復帰した実松一成二軍バッテリーコーチ(38)が、選手育成に向けた意気込みを語った。巨人時代の盟友・阿部二軍監督の下“ポスト・阿部”育成に向けて重要な役割を任された実松氏。その育成方針の根幹には、阿部二軍監督の言葉と、自身が現役の時に経験した失敗談があるという。“しくじり先生”として、後輩たちへ伝えたい実松コーチの思いとは――。

 ――ここまで感じた選手の印象や、育成コーチ(兼捕手)だった日本ハム時代との違いなどは

 実松 みんなが期待できる注目の選手で、みんなにチャンスがあると感じました。違いとかは特にないかな。

 ――巨人時代の先輩・阿部二軍監督の下での仕事。育成方針などは決まっているか

 実松 方針というわけではないけれど、阿部二軍監督が常々話している「まずは自分の中で考えて行動に移す」という言葉は大事だと思いますね。言われたことをするのはもちろん大事ですが、それだけじゃなく、理由や理屈などを自分で考えることはかなり重要。

 ――自身の現役時代にもそれは感じたのか

 実松 感じたね。自分は現役のころ、打てる方じゃなかった。打てるようになるために打撃練習をたくさんやっているつもりでしたが、それはただ量をこなしているだけだったんですよ。「練習をしていればいつか打てるようになる」という考えじゃ駄目だったんです。今の練習は何をしたいからやっているのか、自分はどういう打撃がしたいのか、あそこに打ち返すにはどうすればいいのか…。今考えれば、そういった意識が自分は薄かったんだと思いますね。

 ――一軍の選手はそういった意識が違うのか

 実松 違ってくるね。阿部さんしかり。一軍の選手は一番に野球のことを考えてますから。

 ――“ポスト・阿部”となる選手をつくり上げるためには必要な要素

 実松 もちろん、ファンの方も期待されているように、理想像は阿部さんのように打てて守れる捕手。ただそんなにすぐできるほど簡単ではない(笑い)。そもそもファームにいる選手たちは技術的に足りてないところが多いわけで、そこも当然教えないといけないし、練習量だって必要。1つしかないポジションを取りにいかせること、そして育成選手も多いわけですから、一人でも多く上の世界に行けるようにするのが自分の今の役割だと思います。