阪神から事実上の戦力外通告を受けた鳥谷敬内野手(38)が31日の巨人戦(甲子園)前、自らの去就について異例の会見を行った。

 29日の球団トップとの会談で、揚塩球団社長から「引退してくれないか」と告げられたことを明かした上で「来年以降のことに一切話はなかったので、事実上の戦力外という感じだと思います」と感想を口にした。

 注目の今後については「自分が持っている選択肢はこのまま引退するのか、戦力外を受け入れて他チームを探して現役を続行するのか。他チームで(オファーが)なければ、そのまま終わるという形になると思う」と二者択一であると強調し「先になるけど、引退するとなれば、してもらえるか分からないけど、引退試合の形で終わるかも。それなりの日がたって、その話(引退試合)がないということは、他球団で現役続行を考えて探すという選択をしたと思ってもらえばいい」と話した。

 最後には「(いずれにしても)ファンの皆さまに、今シーズンでどういう形でもタイガースのユニホームを脱ぐというのを伝えたいなというのが一番の思い」と語気を強めた。今回の会見はファンへの感謝はもちろん、チームが目下、CS争いの大事な時期でもあり、試合に集中してもらいたい思いがあったため行ったという。

 それにしても球団にとってはシーズン途中のこの時期に、生え抜きスターの去就問題がこういった形で表面化したのはバツが悪い。鳥谷が25日のヤクルト戦終了後に漏らした「これが最後かもしれない」の“不穏発言”で一気に騒動に発展したわけだが、交渉役の一人だった谷本球団本部長は「引退勧告という感じではなく“後進に道を譲ってほしい”という話をしたんですが、彼の現役へのこだわりがかなり強かった」と鳥谷に事実上の「拒否」を受けた。

 引退後のポストなど話し合う準備もあったというが「現役へのこだわりが強かったので、そこまで言えていない。簡単に言うと物別れに終わっているのが実情」と悩める経緯を明かした。また、現場の矢野燿大監督(50)にも「シーズン中に申し訳ない」と謝罪したという。

 現役続行を宣言したといっていい鳥谷。水面下では鳥谷と親交ある井口監督率いるロッテ、人気選手が欲しいオリックスなど、獲得に色気を見せる球団が出る可能性は大だ。