エンゼルス広報部長が見た大谷翔平の不動心「試合後にはいつもノートに…」

2021年11月08日 14時00分

大谷(ロイター=USA TODAY Sports)
大谷(ロイター=USA TODAY Sports)

【元局アナ青池奈津子のメジャー通信】「英語圏のメディア、スペイン語圏のメディア、韓国メディア、日本メディアのカメラすべてが、翔平がフィールドに出てきたり、何もしていなくても常に彼を捉えていた。世界中の人々が野球というスポーツが好きだということ、どこから来たかは関係なく、翔平のやっていることを見たい、100年間誰もできなかったことをひと目でも見たいと追っていて、それは野球がまさにグローバルなスポーツだということを改めて思い出させてくれた。それが今季最大の楽しみだったよ」

 エンゼルスのアダム・チョズコ広報部長に、今季の大谷翔平投手(27)との日々について聞いた時の言葉だ。大リーグ全般に言えることだが、中でもエンゼルス広報部は特に人間味があり、親しみやすいと思う。

 その広報部に、今季は球団史上見たこともないほどの取材リクエストが殺到した。

「翔平の1年目と比較しても2~3倍はあったんじゃないかな。2012年にマイク・トラウトがデビューしてからもずっとエキサイティングだったけど、マイクはそれでも米国内、野球界のスター。一番わかりやすいたとえは、翔平に対しスポーツ界ではないメディアのリクエストが圧倒的に増えたんだ。『グッド・モーニング・アメリカ(1975年から続く朝番組)』『ジミー・キンメル・ライブ!(人気深夜トーク番組)』など。特にオールスターのころがピークで、その時の全国番組のリクエストはスポーツ界でも例を見ないほど。野球ファン以外もこの男に注目しているんだって、目を見張ったよ」

 そして、それらリクエストのほとんどを大谷は断った。

「それこそが翔平の野球に対する献身ぶりを表しているでしょう。翔平のフォーカスはいかなる時も試合の準備だった。何物にも惑わされない彼を本当に尊敬する。野球が最優先であるべきだし、彼は最初から最後までその姿勢を貫いた。翔平自身も自分のやっていることの大事さ、最高レベルで戦える才能があることすべて理解しながらやっていて、今年は実際に世界に見せることができて誇らしかったんじゃないかな」

 クラブハウス、ウエートルーム、トレーニングルーム。大谷の集中力が途切れたのを見たことがないというアダム。

「デッドリフトをやっている翔平を見ると、自分がとても弱いものに感じるよ。あのウエート量、あの下半身…もうショッキング。それにね、何を書いているかは分からないんだけど、試合後にはいつもぎっしりノートに書き込みをしているんだ。二刀流をやるための半端ない準備を翔平は比類なき集中力で、さらには喜んでやっていたように見えた」

 その裏で、メディアも少しでも情報を届けようと、大谷と話をさせてくれと闘っていたのも事実。コロナ禍でクラブハウスに入れなくなって2シーズン、大谷やチームメートらと話せる機会は限られており、板挟みのアダムらにとっては大変だったはず。しかし、次のアダムの言葉で今季の歯がゆい思いなど一瞬にして吹き飛んでしまった。

「今年は特にチャレンジングだったね。翔平にリスペクトを見せたいけど、残された時間でメディア対応してもらう必要があった。登板後に話すという以外は基本準備に充てられていたから、翔平が取材に応じてくれる時は私たちもとてもうれしかったんだ」

 いつも少しでも力になろうとしてくれる彼らのおかげで今年もたくさんのニュースを届けられたことを、ここに感謝したい。

 ☆アダム・チョズコ サンディエゴ大学で経営学とマーケティングを学び、2008年からエンゼルスでアシスタントやインターンなどを経て、12年より広報部に就職。19年から現職の広報部長のポジションに。

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