智弁和歌山を甲子園優勝に導いた「中谷仁イズム」 阪神時代相棒の藤田太陽氏が指摘

2021年08月31日 11時00分

指示を出す中谷監督
指示を出す中谷監督

【楊枝秀基のワッショイ!スポーツ見聞録】 夏の甲子園は智弁和歌山の全国制覇で幕を閉じた。指揮を執ったのは元阪神、楽天、巨人で捕手として活躍した中谷仁監督(42)。この采配ぶりに元相棒が「仁らしさが随所に出ていましたね」とほほ笑んだ。

 声の主は同級生で阪神時代にバッテリーを組んだ藤田太陽氏(41=社会人・ロキテクノ富山監督)だ。

「一番印象的だったのは背番号1のエース(中西)が9回2アウトで交代した場面。ああ、高校生っぽい9回の投げ方しちゃってるなと。中谷は試合後に必ず何か言ってるはずだと思いました」

 藤田氏が指摘したのは24日、高松商との3回戦だ。5―1の9回二死から2四死球などで満塁。ここで向井を遊ゴロで試合終了と思われたが、二塁への悪送球の間に2点を失い勝負はわからなくなった。

 なおも二死一、二塁。勝利まであとアウトひとつ。そういう局面で中谷監督はエースから伊藤に投手交代し逃げ切った。

 数字上は先発・中西が8回2/3を3失点で勝利投手。失点もエラー絡みだ。だが、エースの独り相撲は褒められない現実だった。

 ただ、藤田氏はその後の変化に目を見張った。「あの後から(中西が)明らかに変わった。カウントを取りにいく場面での変化球の使い方。自滅せず、チームのために投げようという部分での意識が見えた。ここに中谷イズムが出ていたと思うんです」

 26日の準々決勝は2年生・塩路が先発し高橋、武元とつなぎ9―1で完勝。28日の準決勝は中西が先発し9回1失点の完投勝利で意地を見せた。

 29日、奈良・智弁学園との決勝は2点リードの4回無死一、二塁から中西が2番手で登板。犠打で一死二、三塁とされても、落ち着いて後続をフォークで連続三振に打ち取った。そのまま6イニングを無失点で優勝投手となった。

「チーム方針を尊重しつつ、自らの長所もちゃんと出させる。こういうことができるのは中谷が個人個人と向き合っている証し。生徒たちを選手としてではなく、自分の息子たちと本気で思っているんでしょう」

 高校、社会人と舞台は違えど藤田氏も監督。同級生の偉業を祝福しつつ、自らも大きく刺激を受けた様子だった。

 ☆ようじ・ひでき 1973年生まれ。神戸市出身。関西学院大卒。98年から「デイリースポーツ」で巨人、ヤクルト、西武、近鉄、阪神、オリックスと番記者を歴任。2013年からフリー。著書は「阪神タイガースのすべらない話」(フォレスト出版)。21年4月にユーチューブ「楊枝秀基のYO―チャンネル!」を開設。

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