巨人の番記者として身近に接していると、時に損だなと感じるのが村田真一ヘッド兼バッテリーコーチ(54)の役回りだ。
村田ヘッドの仕事は監督への助言や担当する捕手部門の指導に加え、コーチ間のパイプ役、ファームと連係して選手の入れ替え調整も担うなど多岐にわたる。そしてもうひとつ、重要な役目(?)が負け試合後の記者対応だ。
敗戦後の関係者は皆、口が重いもの。そんななか村田ヘッドだけは雄弁だ。ロッカーを出ると「なんや?」と切り出し、記者陣の前で毎度足を止める。質問に応じて試合のポイントを振り返り、個々の課題を指摘しながら、奮起を促すのだ。
絶対エースが相手でも容赦はない。菅野が打たれれば「トモ(菅野)やからこそ、抑えてもらわんとアカンよな」とバッサリやる。先日、敵地広島戦で初回4失点した田口には「なんのための調整期間やったんやて。みんな怒るで!」と強烈な言葉を投げかけた。
一方で勝ち試合では淡泊だ。「今日は勝ったんやからええやないか。選手に聞いてやってくれよ」で終わり。監督の立場では言いにくいことや、チーム全体の思いを代弁してガス抜きするのもヘッドコーチの役目と心得ている。最近はチームが低迷していることもあり、厳しい言葉がファンを刺激して批判の的になることもしばしば。それでも舌鋒の鋭さが鈍らないのは、肝の据わり方が違うのだろう。
ただそんな村田ヘッドにも取材の悩みはある。上京して40年近く変わらない自分のコテコテの関西弁が紙上に踊ることが「恥ずかしい」のだという。本紙も「ウチは東京の球団なんやから、コメントが関西弁じゃおかしいやないか。標準語に直してくれ」と何度もお願いされた。
どんなときも快く取材に応じてくれるヘッドの頼みだ。こちらも一度は真剣に検討した。だが実際に標準語に直してみると、急にコメントが味気なくなってしまう。例えば前述の田口KOの際のコメントを直すと「なんのための調整期間だったんだ。みんな怒るぞ!」となる。記者は関東出身だが、関西弁だからこそ通じる〝熱〟や〝暖かみ〟もあると感じている。結果、「ご要望にはお応えできません」ということになった。
ちなみに村田ヘッドからは、今春の沖縄キャンプ中にこんな〝お願い〟もあった。
「おい、東スポ。ここは沖縄やから、俺のコメントの語尾を『○○さ〜』にしてくれんか? 『ナイスピッチングさ〜』とか『勝ったさ〜』に変えるのはどうや? 優しい感じになるやろ」
この傑作ご当地プランには乗っておくんだった、と少し後悔している。
(運動部主任・堀江祥天)












