現場は戦々恐々としているようだ。第103回全国高校野球選手権大会(甲子園)の大会本部は14日、天候不良のため予定されていた1回戦の4試合を15日に順延すると発表した。

 3日連続の全試合順延は1975年以来、46年ぶり。すでに開幕日も含め今大会は計4日間の順延を強いられており、関係者からは過密日程ばかりか「悪夢のシナリオ」の現実化を懸念し始める声も出てきた。

 この日の順延決定に伴い、準決勝と決勝の間に設けられていた休養日は取り消されることになった。当初3日間設定されていた休養日は準々決勝翌日のみとなり、大会終盤はすし詰めの状況だ。

 大会規定で順延が3日間以上となった場合は休養日を順次削っていくことが決まっているが、その〝猶予〟もまだ大会第2日までのスケジュールしか消化できていないにもかかわらず残り僅か1日しかない。

 活発な前線の影響で15日以降も甲子園周辺は不安定な天候がしばらく続く予報となっており、今後も荒天が相次げば全日程消化も危うい。

 決勝戦は27日に開催予定。31日からプロ野球の阪神が本拠地・甲子園で中日、巨人との公式戦6連戦を組んでいることを考えれば「少なくとも明け渡しに中3日が必要」とされる球場整備等の面で、これ以上の延期はますます困難となる。

 こうした背景から大会関係者の間で不安視されているのが、まさかの「途中打ち切り」だ。東日本の地方高野連関係者は「8月の半ばにまるで梅雨末期のような災害級の豪雨がここまで長く続くことは想定外。もうこれ以上、悪天候に勝てずリスケジュールもどうにもならないとなったら大会本部も取り止めを決断せざるを得なくなるのではないか」と表情を曇らせる。

 警戒すべき「敵」は天候だけではない。再び日本全国で猛威を振るう新型コロナウイルスの第5波だ。感染力の強いデルタ株やラムダ株の変異ウイルス拡大が懸念されている今、大会参加のため長期間にわたって多くの球児を引率する監督ら各チームの関係者も長引く悪天候によって「缶詰モード」が続く現状を危惧し始めているという。

「予定していた期間よりもこれだけの大人数で宿舎に長く滞在することになれば、感染リスクは当然増える。そのうえ雨ばかりで狭い室内練習場での練習が続くと、どうしても『密』になってしまう。もちろん球場を一旦離れた場所での感染対策も徹底されているはずだが、オリンピックの『バブル方式』とは違い、そこは各チームに委ねられていますから。正直に言えば、さすがに国際大会レベルのような超厳格な動線が敷かれているわけではないから『絶対に大丈夫』とはなかなか言いづらいし、どのチームにも限界がある。遠方から来ている応援団や学校関係者も同様だ。あってはならないけれども悪天候で延期続きの余波によって万が一、クラスター(感染者集団)が発生してしまったらという不安も拭えない」(前出の関係者)

 奇しくも大会本部はこの日夕方、大会第8日の20日に2回戦を迎える東北学院(宮城)の選手1人が新型コロナウイルスのPCR検査で陽性と判定されたと発表。当該選手は13日に発熱し、同日夜と14日朝に2度の検査を受け、ともに陽性だった。濃厚接触者については現在調査中で保健所の判断が出るまで選手らは宿舎の個室で待機しているという。

 異例の悪天候と新型コロナ第5波。ダブルパンチに見舞われる「夏の甲子園」は果たして最後まで無事に行われるのだろうか――。