屋根を奪われた球団に、次の時間切れが迫っている。英ラジオ局「TALKSPORT」電子版は7日(日本時間8日)、レイズの新球場計画をめぐり、ケン・バビーCEO(46)が地元自治体との合意形成を急いでいると報じた。計画は総額23億ドル(約3600億円)。フロリダ州タンパのヒルズボロ・カレッジ・デールメイブリー・キャンパス敷地に、2029年シーズン開場を目指して「永久本拠地」を建設する構想だ。
背景には、球団の本拠地問題がある。レイズが1998年の球団創設時から使用してきたセントピーターズバーグのトロピカーナ・フィールドは、2024年10月9日(同10日)にフロリダ州を襲ったハリケーン「ミルトン」で屋根が大きく損壊。球場は使用不能となり、25年はヤンキースのキャンプ地でもあるタンパのジョージ・M・スタインブレナー・フィールドを仮本拠地にして戦った。今季は約6000万ドル(訳93億円)をかけて修復されたトロピカーナ・フィールドに戻ったが、老朽化とアクセス面の課題が消えたわけではない。
レイズ側は12億3500万ドル(1914億円)に加え、設計・建設費の超過分を負担する一方、郡と市などに計10億6500万ドル(約1651億円)の公的支援を求めている。6月1日(同2日)までの最終合意を目標に置くが、ヒルズボロ郡側は契約内容の詰めに「60~90日」は必要との見方も示しており、時間との勝負になっている。
皮肉なことに、グラウンド上のチームは勢いを取り戻している。7日(同8日)のレッドソックス戦(フェンウェイ・パーク)ではチャンドラー・シンプソン外野手(25)の勝ち越し打などで8―4と勝利。7連勝で25勝12敗とし、ア・リーグ東地区ではヤンキースに0・5ゲーム差の2位につける。23年を最後にポストシーズンから遠ざかり、昨季は地区4位に沈んだ球団にとって、勝てる今こそ未来の器を固める好機でもある。
新球場は単なる「箱」ではない。流浪と老朽化に終止符を打ち、低予算でも勝つ球団の看板を、地域に根づく球団へ作り替える「装置」だ。期限を越えれば、2029年開場の青写真は一気にかすむ。レイズの勝負どころは、打席の中だけではない。












